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2019.10.101016view

季節の変わり目!のどかぜ、目の充血に“菊花”ケア

「七十二候」の旬を愉しむ季節の養生 vol.3

旬の植物から生命力をいただく“節句”

このシリーズでは、古来の暦である「七十二候」から、季節に育まれた自然の恵が、季節の暮らしや身体にどのように関わってきたのかをたどっていきます。

さて、秋も本番を迎えています。皆様は『重陽(ちょうよう)の節句』をご存知でしょうか?
『重陽の節句』は、3月3日の『上巳(じょうし)の節句』や5月5日の『端午(たんご)の節句』と同様、一年の重要な節目となる五節句のひとつです。五節句はその季節に旬をむかえる植物の名前で呼ばれることも多く『上巳の節句』は『桃の節句(ひなまつり)』、『端午の節句』は『菖蒲の節句(こどもの日)』と呼ばれています。

陰陽思想では、奇数は陽数と捉えられており、最大の陽数である9が重なる9月9日が『重陽の節句』とされ、めでたい節目となり邪気を払う行事が行われていました。
『重陽の節句』にあたる旧暦の9月9日は、現代の10月の中頃にあたり、菊が最も美しい季節であることから『菊の節句』とも呼ばれています。
古来より菊には寿命を延ばす力があるとされており、『重陽の節句』には、杯に菊の花びらを浮かべた菊酒をいただき、菊の花の香りと花露をしみこませた綿で身を清め、不老長寿を願います。
今回は、秋の花を代表するこの『菊』についてご紹介します。

節句/別名日付
(新暦の時期)
風習
人日(じんじつ)の節句/
七草の節句
1/7
(2/11頃)
七草粥を食べて一年の豊作と無病息災を祈る
上巳(じょうし)の節句/
桃の節句
3/3
(4/7頃)
雛人形を飾り、魔除けとして桃の花を供える「ひな祭り」
端午(たんご)の節句/
菖蒲の節句
5/5
(6/7頃)
菖蒲で邪気を払い、鯉のぼりや武者人形を飾る「こどもの日」
七夕(しちせき)の節句/
笹の節句
7/7
(8/7頃)
笹竹に、歌や文字を書いた五色の短冊を飾って願い事をする「たなばた」
重陽(ちょうよう)の節句/
菊の節句
9/9
(10/7頃)
菊の花を飾り「菊酒」を飲んで邪気を払い長寿を祈る「菊祭り」

≪五節句≫
本来、旧暦での行事である五節句は、新暦に切り替わった後も日付はそのままで変わらなかったため、気候や植物や作物の旬の時期が現代の暦では約一ケ月遅い時期となります。

菊花開(きっかひらく)寒露‐次候

十月の七十二候では、秋を感じさせてくれる菊の季節が到来したことをあらわしています。
菊の花は皇室の紋章にもなっており、日本人にとって桜とともになじみの深い花です。
古くから観賞用として楽しまれてきた菊ですが、薬用、食用としても多く用いられてきました。
食用のものは、観賞用のものに比べて花弁が柔らかく、苦味が少なくて甘みがあるのが特徴です。
また、菊の花には解毒のはたらきもあり、魚の毒を押さえるために刺身のツマとしても使われていることはご存知の方も多いでしょう。

のどの痛み、目の疲れ、イライラに“菊の花”

菊の花は生薬として漢方薬にも利用されています。
生薬の菊は「菊花(キッカ)」と呼ばれ、シマカンギクの頭状花の部分を乾燥させたものを使います。
菊花にはほのかな苦味と辛味、甘味があります。漢方の考え方では、身体を少し冷やすはたらきがあり、肝や肺の不調からくる次の症状に使われます。

・感冒発熱の初期、のどの腫れや痛み
・のぼせ、頭痛
・目の充血、目のかすみ、ドライアイ(クコの実といっしょに)
・イライラ、不眠

お茶に加えるなどして飲みますが、胃腸が弱くて冷えやすい方は、少量で用いるかクコやナツメなどを合わせて用いましょう。

日中はまだ暑さを感じる一方、朝晩は肌寒くなるこの時期は、かぜをひく方も多くなります。
少し熱っぽいとき、のどの腫れや痛みからくるかぜの予防に、ミントやハチミツと合わせて菊の花を活用してみましょう。

また、菊花とクコの実は、目のトラブルに使われる最強コンビです。
読書の秋、目を使いすぎたときなど、菊花とクコの実のお茶で目の疲れを癒すのもよいでしょう。
更に、菊の清々しい香りは、夏の暑さで高ぶっていた神経を穏やかにしてくれます。

秋の夜長は「菊枕」、「菊風呂」でリラックス

≪菊枕≫
  ① 菊の花びらだけを300枚程取って、天日で2日乾燥させます。
  ② ①を布袋の中に詰めて、枕の上に載せます。
≪菊風呂≫
  ① 秋に花が咲いている時、菊の地上部を茎ごと刈り取り、陰干しをして、細かく刻みます。
  ② ①を30g程、布袋に入れます。
  ③ 布袋に入れた菊花をそのまま浴槽に入れるか、上から熱湯をかけて15分ほど蒸らし、汁ごとお風呂に入れてもよいでしょう。手浴や足浴などの部分浴もおすすめです。

菊の花が鮮やかに咲くころに青空が晴れ渡ることを菊晴れといいます。気持ちよく晴れた秋空のもと、清々しい菊の香りに包まれて、心身とも快適に過ごせそうですね。

山吹 育恵 - Ikue Yamabuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
東北医科薬科大学を卒業後、病院勤務を経て1990年薬日本堂入社。 2011年までニホンドウ漢方ブティック仙台トラストシティ店で店長を務めた後、20年の臨床経験を活かし、漢方スクールの講師と社内相談員の学術支援に携わる。大自然の力に魅せられ、自然農の考えに触れたことをきっかけに15年前より自らも農業を実践中。

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