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公開日:2019.01.10 更新日:2020.05.195215view

肉料理の消化を助ける「大根の山査子酢漬け」

薬膳常備菜Vol.32

胃腸を助けて元気に一年をスタートさせよう!

松も開けて新しい年がスタート!
今年も、健やかで笑顔の多い一年にしたいですね。

年末年始の休みが明けると、気になるのが体重&体脂肪の増加。
忘年会、新年会などおいしいものを食べる機会が続いた人の中には、「久しぶりに体重計に乗ったらびっくり!」と慌てている方もいるのではないでしょうか。

松が開ける1月7日、日本では七草粥を食べる習慣があります。
春の七草といえば、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ。耳慣れない名前が並びますが、すずなはかぶ、すずしろは大根のことを指します。
この2つの野菜は、どちらも消化を助け、胃に停滞したものを下ろしてくれる薬膳食材。消化機能に負担がかからないお粥に、消化を助ける2つの野菜を加えた七草粥には、「お腹を健康に保つことで、一年を元気に乗り切りたい」という、先人の知恵と願いが込められているのかもしれませんね。

七草粥の習慣からはすっかり遠ざかってしまった現代人。
私たちの食生活は欧米化され、脂肪分の多い肉食を好む傾向が強くなっています。
日ごろは気を遣っている人も、年末年始はついつい高脂肪、高カロリーのご馳走を楽しんだのでは?
そろそろ、働きづめだった胃腸をすっきりさせてあげましょう。

肉の消化を助ける山査子(さんざし)は美容界でも人気

今月の薬膳常備菜は、胃の停滞を取り除く春の七草、大根を使った「大根の山査子酢漬け」。ポイントは、甘酢に使用する「山査子酢(さんざしす)」です。

山査子は、バラ科のサンザシの果実を乾燥させたもので、中国の消化薬「保和丸(ほわがん)」にも入っている薬膳食材。消化不良の中でも、特に肉類によるお腹の張りや下痢などにおすすめです。
消化を助けるほかに、「気」を動かして「血」の滞りを取り除く働きがあるので、婦人科系のお悩みのケアにもよいと言われ、最近は、美容意識の高い女性の間で人気を集めています。

この山査子を、米酢やリンゴ酢につけておくと、ほのかに果実の風味が加わったオレンジ色の山査子酢に。ドレッシングや餃子のたれなどに便利に活用できます。

今回の薬膳常備菜は、山査子酢で甘酢をつくり、同じく消化を助ける大根を漬けこんで甘酢漬けにしたもの。こってり系の肉料理の付け合わせにすれば、口もさっぱりするし、消化も助けてくれるし、まさに一挙両得の常備菜になります。

乾燥の山査子は、中華食材店や薬膳食材の通販で手に入ります。今回の酢漬け以外にも、いろいろな料理に活用できるので、ぜひお試しください。

【材料】(作りやすい分量)
大根…1/4本
塩…少々
山査子酢…大さじ1
(乾燥山査子1カップをビンに入れ、米酢またはりんご酢を3カップ注いで冷暗所で保存したもの)
砂糖…大さじ1

【作り方】
①大根は縦1/4に切ってスライスし、塩ひとつまみを振って塩もみし、少し置いてから水気を絞る。
②山査子酢に砂糖、塩少々を加えてよく溶かす。
③①と②、山査子酢の果実も一緒に保存用袋に入れ、空気を抜いてチャックを閉じたら冷蔵庫で約1日おけば出来上がり。

◆食材メモ
大根:気を巡らせて消化を促し、消化器管を助ける。胃もたれ、嘔吐、お腹の張りに。気管支をすっきりさせるので、咳やかぜの予防にも。
山査子:肉や脂っこいものの消化を助ける。血も巡らせるので外食の多い人、生活習慣病が気になる人に。

低温調理した自家製チャーシューに、山査子酢とともに添えて。大根おろし感覚でお肉と一緒に食べると、さっぱりいただけます。

岡尾 知子
岡尾 知子 - Tomoko Okao

漢方養生指導士(漢方上級スタイリスト)、国際中医師、国際薬膳師、鍼灸師。美容・健康をテーマに美容・健康エディターとして仕事をする中で東洋医学に関心をもち、漢方、中医学、薬膳を学ぶ。雑誌やラジオ、イベントなどを通じて、美容と健康のための薬膳や養生についての啓発活動を行う。はり師・きゅう師の国家試験に合格し、鍼灸師として東京の「池袋ひりゅう鍼灸院」で臨床にあたっている。詳しい情報は「LOTUS(ロータス)薬膳教室」「薬膳ノート」で検索を!

◎薬膳教室:「TUMUGU東京青山」http://www.tumugu-aoyama.jp/

◎HP:「薬膳ノート」http://www.yakuzennote.com

◎ブログ「Eat & Run! 岡尾 知子の美・薬膳な日々」http://ameblo.jp/yakuzen-navi/

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