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公開日:2018.12.10 更新日:2020.05.193852view

ほっこりおいしく脾胃をいたわる「かぼちゃの甘煮」

薬膳常備菜Vol.31

黄金色のかぼちゃでおなかの調子も金運もアップ!?

早いもので今年も師走に入りました。大掃除、年賀状の準備、仕事納め、忘年会と、この一か月は一年の中で最も忙しい時期です。イベントが目白押しで、生活リズムを崩しやすくなることも。こんなときこそ、日々の食事に気を遣いたいですね。特に、外食が重なる方は、不足しがちな野菜をしっかりとることを意識してください。

さて、この時期に食べる野菜といえば、まっさきに頭に浮かぶのが「冬至かぼちゃ」。
硬い皮に包まれたかぼちゃは保存性が高いので、野菜の少ないこの時期に積極的に食べるのがよいとされてきました。
栄養学的に見ると、かぼちゃにはβ-カロテン、ビタミンE、B1、B2、C、Eと、種々のビタミンが豊富。栄養価の高さでは、野菜の中でも特に優秀な食材といえます。

さらに、鮮やかな黄色い色も魅力。昔の人は、黄金色のかぼちゃを食べれば金運アップにつながるとも考えていたそうです。陽の力がいちばん衰える「冬至」の日は、「一陽来復」の日。今年一年がいまひとつだったという人も、かぼちゃを食べて陽の力に勢いをつけることで、悪運が幸運に切り替わるともされています。

黄色いかぼちゃは「脾」の消化機能を助ける

そんな縁起物でもある「冬至かぼちゃ」。食べない手はないですよね。
薬膳的に見ると、かぼちゃは消化機能を担う「脾」や「胃」を元気にしてくれる食材。五行説では脾は黄色に属するので、おなかの弱い方や、宴会や飲み会で胃腸を消耗しがちな方にはもってこいの食材といえるでしょう。

さらにうれしいのは、かぼちゃには体を温める性質があること。日照時間が最も短いのが冬至ですが、寒さが極まるのは冬至を過ぎてから。この時期に食べておけば、冷えによる消化不良や便秘、下痢などを予防にもつながります。

今月の薬膳常備菜は、「かぼちゃの甘煮」。かぼちゃに砂糖と塩で薄味をつけたシンプルな煮物です。皮をむくのがちょっと面倒なかぼちゃは、買ってきてすぐに甘煮にしておくと便利! そのままお皿に盛れば立派な副菜になりますし、たまねぎやハムを加えてマヨネーズで和えればかぼちゃサラダに。くるみとレーズンを加え、バターをのせて焼けば、あつあつのスイーツにも早変わりします。

竹串がすんなり入るくらい柔らかめに煮ると、つぶしたり、和えたりと料理にアレンジしやすくなります。忙しくて料理を作るのも億劫になるこの時期に、脾胃をいたわるお助け常備菜として、ぜひご活用ください。

【材料】
かぼちゃ…1/4個
砂糖…小さじ1と1/2
塩…小さじ1/2

【作り方】
①かぼちゃは種をとって一口大に切り、面取りする。(電子レンジで1分半ほど加熱してから行うと、切り分けやすくなる)
②鍋にかぼちゃを並べ、ひたひたの水と砂糖、塩を加える。中火にかけ、煮立ったら弱火に。途中で上下をひっくり返し、竹串がスーッと通るくらいの柔らかさになったら出来上がり。
③煮汁ごと冷まし、粗熱がとれたら冷蔵保存。日持ちは約3日。

◆食材メモ
かぼちゃ:脾胃の働きを強化し、消化機能の疲れ、吐気、下痢、便秘を防ぐ。おなかの冷えをとり、冷えによる胃痛を防ぐ。

紫たまねぎ、くるみ、レーズンを加えたかぼちゃサラダ。脾胃の気の巡りを順調にするたまねぎ、陽気を補うくるみ、血を補うレーズンとの組み合わせで、薬膳効果もアップ!

岡尾 知子
岡尾 知子 - Tomoko Okao

漢方養生指導士(漢方上級スタイリスト)、国際中医師、国際薬膳師、鍼灸師。美容・健康をテーマに美容・健康エディターとして仕事をする中で東洋医学に関心をもち、漢方、中医学、薬膳を学ぶ。雑誌やラジオ、イベントなどを通じて、美容と健康のための薬膳や養生についての啓発活動を行う。はり師・きゅう師の国家試験に合格し、鍼灸師として東京の「池袋ひりゅう鍼灸院」で臨床にあたっている。詳しい情報は「LOTUS(ロータス)薬膳教室」「薬膳ノート」で検索を!

◎薬膳教室:「TUMUGU東京青山」http://www.tumugu-aoyama.jp/

◎HP:「薬膳ノート」http://www.yakuzennote.com

◎ブログ「Eat & Run! 岡尾 知子の美・薬膳な日々」http://ameblo.jp/yakuzen-navi/

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