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公開日:2018.11.10 更新日:2020.05.195006view

寒い季節の温め常備だれ「食べるニラ胡麻醤油」

薬膳常備菜Vol.30

11月に入ると、立冬を迎えて暦はもう冬。朝晩と日中の寒暖差が大きいせいか、体調を崩している人が多く見受けられます。みなさんは大丈夫ですか? 
肌寒い日が次第に増えてきて、暖房が登場する日が出てくる時期に入りました。この時期になって気をつけたいのは、何といっても「冷え」。特に女性は、寒い時季の冷えがきっかけで冷え体質に陥る人が多いので、万全の対策を講じておきたいですね。

冷えをもたらすメカニズムはさまざま。でも、根本にあるのは血液循環の悪さです。
東洋医学の視点で、冷えには主に3つの要因が考えられます。1つは、外界から侵入する冷えの邪気。2つ目は消化器官をはじめとする内臓、体内の冷え。そして3つ目は、もともと体に備わっている〝体を温める力〟(=陽気)の衰え。冷えが体の内側に入るほど重症であり、陽気の低下に至れば冷え性はかなり深刻になると考えてよいでしょう。

ではどうすればよいのか。
体を内と外から温め、陽気を補うようなケアが必要なのは言うまでもありません。それと同時に行いたいのが、血液循環を促すこと。循環、巡り、体の機能を動かすのは五臓の「肝」の働きですから、ストレスをためないように気分転換をしたり、しっかり睡眠時間を確保したり、軽く体を動かして筋肉や関節をのびやかにほぐしてあげることも大事です。

陽気を強め、巡らせてくれるニラ

寒い時期の冷え対策に、ぜひ加えたい食材があります。それは「ニラ」。薬膳の世界で、ニラは別名「壮陽草」。辛味があり、体を温める性質があり、陽気を強壮にして巡らせてくれる野菜です。

中国の古典『本草綱目(ほんぞうこうもく)』を見ると、「采部」の最初に登場するのがこのニラ。そこには「ニラは肝の菜であり、肝は疎泄(そせつ)を主る」との記載があります。つまり、ニラは単に温めるだけでなく、五臓の「肝」に働きかける力があるということ。巡りをよくして冷えによるさまざまな機能低下を防ぐのに役立つと考えられていたのです。

今月の薬膳常備菜は、「食べるニラ胡麻醤油」。ニラをザクザク刻み、醤油、ごま油などで漬けた万能調味料です。ごま油と白ごまを加えることにより、潤いを与える効果もプラスされ、冬の冷えと乾燥対策の両方がかなう魅力的な常備菜です。

そのままご飯にのせてもいいし、野菜炒めやチャーハンの具としても大活躍! 数日置けば醤油にニラの風味が染み出すので、醤油だれだけを調味料として使うこともできます。時間がたつほど味がなじんでおいしくなるので、ぜひ常備して、毎日いろいろな料理にご活用ください。ニラは傷みにくい野菜ですから、冷蔵保存なら2週間以上日持ちします。
今から始めて冬本番まで、この冬は「ニラ生活」で巡りのいい体を目指してください。

【材料】
ニラ…1束
白ごま…大さじ1
鷹の爪…1本
醤油…150㏄
みりん…30㏄
ごま油…小さじ1

【作り方】
①ニラは根本を落として1~2㎝長さに刻む。
②ボウルにニラ、白胡麻を入れ、醤油、みりん、ごま油を順に注ぎ入れてよく混ぜる。
③保存容器に入れたら、鷹の爪を加えて冷蔵庫で1日以上置く。

◆食材メモ
ニラ:体を内側から温め、陽気を巡らせる。五臓の「肝」「腎」の働きを助け、「胃」の消化機能を健やかにする。
白ごま:潤いを与え、乾燥を防ぐ。皮膚の乾燥や潤い不足による便秘の予防によい。

たっぷりのニラに乾燥の桜エビを加えてチヂミに。
「ニラ胡麻醤油」の醤油だれにラー油、コチュジャン、酢を加えれば、韓国風のたれも出来上がりです。

岡尾 知子
岡尾 知子 - Tomoko Okao

漢方養生指導士(漢方上級スタイリスト)、国際中医師、国際薬膳師、鍼灸師。美容・健康をテーマに美容・健康エディターとして仕事をする中で東洋医学に関心をもち、漢方、中医学、薬膳を学ぶ。雑誌やラジオ、イベントなどを通じて、美容と健康のための薬膳や養生についての啓発活動を行う。はり師・きゅう師の国家試験に合格し、鍼灸師として東京の「池袋ひりゅう鍼灸院」で臨床にあたっている。詳しい情報は「LOTUS(ロータス)薬膳教室」「薬膳ノート」で検索を!

◎薬膳教室:「TUMUGU東京青山」http://www.tumugu-aoyama.jp/

◎HP:「薬膳ノート」http://www.yakuzennote.com

◎ブログ「Eat & Run! 岡尾 知子の美・薬膳な日々」http://ameblo.jp/yakuzen-navi/

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