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公開日:2018.04.10 更新日:2020.05.1911551view

春のむくみに“青”の力を「青大豆の塩豆」

薬膳常備菜Vol.23

春にむくみ?!肝と脾の連携不足

漢方養生の勉強を始めると、まず覚えるのが季節の特徴。春は風、梅雨は湿、夏は熱、秋は燥、冬は寒。5つの季節にはそれぞれの特徴があり、それに応じて私たちの体の状態も変化します。日本女性に多いむくみの悩みが起きやすいのは、湿気の多い梅雨時季。東洋医学をかじった方は、条件反射的にそう考えるのではないでしょうか。

先日、とある雑誌で薬膳の記事を書きました。いただいたお題は「春むくみ」。
「春にむくみ」ですか? これはちょっと意外な組み合わせ。でも、読者の声やお悩みを集めて編集している女性誌ですから、春のむくみを訴える人が少なくないのかもしれない……。そう思って、フレッシュな頭で「春」と「むくみ」について考えてみました。

春にむくみやすくなるのは、五臓の「肝」と「脾」の働きと関係があります。肝は全身の気を動かす重要な臓。肝の巡らす力が滞ると、水分代謝に関わる「脾」の働きが低下し、水分の分配がうまくいかなくなるのです。肝はメンタル面に影響を受けやすい性質があります。季節の陰陽が切り替わる春は、心身のバランスが崩れやすくなり、肝が異常に高ぶったり、逆に働きが鈍ったりして、内臓機能に悪い影響を及ぼすのです。「春むくみ」の正体は、肝と脾の連携不足にある! そう考えれそうです。

むくみ、腫毒(しゅどく)を解消する「大豆」

春の後に訪れるのは、湿度の高い梅雨。湿気をためこみやすい季節が来る前に、「春むくみ」をしっかり解消しておきたいですね。そこで取り入れたいのが、大豆の力です。今回の薬膳常備菜は、「青大豆の塩豆」。乾燥した青大豆を戻し、シンプルに塩ゆでにしました。

薬膳では、大豆は胃の気を下して消化機能を整え、便通を健やかに保つ食材。むくみや腫毒を消すとされています。ちょっとこだわったのは、青い大豆を使うこと。東洋医学の基本である五行理論では、青は春、そして肝と同属の色。ちょっとした色の違いですが、おなじみの黄色い大豆より、どことなく春の気分にさせてくれるのがポイントです。

李時珍(りじちん)の『本草綱目(ほんぞうこうもく)』には、「大豆には、黒、青、黄、白、斑の数色あって、黒いものだけを薬に入れ……」とあり、「薬のように使うのは黒豆である」と記されています。でも、毎日の食卓で薬膳を実践するなら、季節の色を取り入れてみるのも楽しいのではないでしょうか。

シンプルな味付けの「塩豆」は、これだけでも枝豆のように美味。煮豆、サラダ、炒め物など、いろいろなお料理に活用できます。また、塩味のついた煮汁も使い、炊き込みご飯にするのもおすすめ。作りやすい分量をゆで、冷蔵で5日間、冷凍で1か月は日持ちしますので、ぜひお試しください。

【材料】
青大豆(乾燥)…100g
塩…大さじ1

【作り方】
①青大豆はよく洗い、豆の3倍の水に一晩浸しておく。
②ふやかした豆を鍋に入れ、2倍量の水、塩を加えて火にかける。沸騰したら弱火にし、泡をとりながらやわらかくなるまで煮る。
③煮あがったら汁ごと冷まし、保存容器に入れて冷蔵保存する。

【食材メモ】
大豆:消化機能を主る脾、胃を健やかに保つ。利尿作用により、むくみを防ぐ。

塩豆とひじきのサラダ。塩豆、煮汁に、千切りにんじん、よく洗ったひじきを入れて1時間以上おき、フレンチドレッシングで和えました。塩味のついた煮汁につけておくことでにんじん、ひじきがしんなりと食べやすい食感に変わります。

岡尾 知子
岡尾 知子 - Tomoko Okao

漢方養生指導士(漢方上級スタイリスト)、国際中医師、国際薬膳師、鍼灸師。美容・健康をテーマに美容・健康エディターとして仕事をする中で東洋医学に関心をもち、漢方、中医学、薬膳を学ぶ。雑誌やラジオ、イベントなどを通じて、美容と健康のための薬膳や養生についての啓発活動を行う。はり師・きゅう師の国家試験に合格し、鍼灸師として東京の「池袋ひりゅう鍼灸院」で臨床にあたっている。詳しい情報は「LOTUS(ロータス)薬膳教室」「薬膳ノート」で検索を!

◎薬膳教室:「TUMUGU東京青山」http://www.tumugu-aoyama.jp/

◎HP:「薬膳ノート」http://www.yakuzennote.com

◎ブログ「Eat & Run! 岡尾 知子の美・薬膳な日々」http://ameblo.jp/yakuzen-navi/

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