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2018.03.052330view
見える世界と見えない世界

鍼灸雑話 その2

象を観て万物の法則を知る

空を観て、目には見えない天候を読み取る方法があります。これを観天望気(かんてんぼうき)と言います。
雲の形には意味があり、その形になった理由・原因が必ずあります。風は目には見えませんが、旗や木々が揺れることで、風の存在がわかります。

今年の冬は、日本各地で大雪に見舞われましたが、その原因は大寒波です。ではなぜ大寒波になったのか?といえば「ラニーニャ現象」があげられています。
ラニーニャ現象は、南米寄りの赤道海域の水温が平年より低く、その状態が一年ほど続く現象のことです。これが起きると「西高東低」の気圧配置になりやすく、夏は猛暑、冬は降雪が多くなりやすいそうです。
雪だけを見てもわかりませんが、降雪には理由があると言うことです。

漢方医学では、顔色や舌、脈、お腹の硬さなど具体的な「象(しょう・かたち)」から、見えない心身の状態を読んでいきます。
内の情報は、外の世界に現れるものです。

鍼灸師は経穴を使いますが、全ての経穴には名前があります。名前も、ひとつの象です。
例えば「湧泉(ゆうせん)」「三陰交(さんいんこう)」「命門(めいもん)」「百会(ひゃくえ)」・・・名前から、とても多くの情報が見えてきます。

この世界は、文字や名前、道具という「象」で溢れているのです。

易占と医術は同源

「気」が働くことで、万物は形作られます。これは漢方医学の根本概念で、あらゆる物質、病気や症状は、気の働きが象となって現れたものです。しかし、気は一般人には見えません。
そこで、古代中国人は天地の気の法則を陰のことを「--」(線2本)、陽のことを「ー」(線1本)という2つの記号を用いて表現しました。それにより、見えない世界が見えるようになりました。これが易学です。

私は、鍼灸医学の一環として「易」も学びました。
ある日、師匠が「来週、山へ修行にいこう」と言いました。そこで、月曜か水曜かを選ぶことになり、表は月曜、裏は水曜と決めコインを投げました。
そのときは確か水曜になったのですが、その週はずっと雨が続きました。しかし、水曜日だけは晴天になったのです。

ここで、簡単なコイン易占の方法を覚えてみましょう。
何か選択をする時に迷ったら、「コイン」を一枚だけ手の中で振って表裏を出します。あらかじめ「表=はい」「裏=いいえ」と決めておきます。どっちが表でも裏でもかまいません。
一つだけ質問を心で唱え、姿勢を正し、リラックスして行うことと、何度もやり直さないことが大切です。おみくじを引くのと同じく一発勝負です。

何かに迷ったら、試しにコインを一枚振って天地に尋ねてみて下さい。
カードを引いてもいいし、本をパッと開いてそこから象を得てもいい。方法や道具は何でも良いのです。

実際には、もっと細かい基本があるのですが、そこに象が出たなら、裏に必ず意味、原因、理由があると考えてください。
四診をする時、鍼を打つ時も同じ感覚なのです。空に浮かぶ雲を観て、その裏にある法則を読むかのように。

世界は未知に溢れている

現代科学でも、この宇宙の5パーセントほどしかわかっていないと言います。つまり、人はほとんど何も知らないのです。
漢方の世界では、宇宙の全てをひっくるめて「気」として表現してきました。でも、その気が何か?まで本当にわかる人は多くありません。

なぜ鍼は効くのか?経絡とは?陰陽とは?虚実とは?
理論だけなら、本を読めばわかりますが、それだけでは本当にわかったことにはなりません。レシピを読んでも、作ったことにはならないのと同じです。

漢方理論は古代の科学です。
だからこそ、まず正しい知識を得る必要があり、知識を得たなら自分の体で気づくことが重要で、ここが一番難しいところでもあります。

山本浩士 - Hiroshi Yamamoto
鍼灸師(厚生労働大臣免許・国家資格) 兵庫県西宮市出身。
幼少より武術修行を始め、師より医武同源の考えを教わり、武術と医術の両立を志す。
高校卒業後、大阪のアクションチームに所属し、映像や舞台などで仕事をする。
2009年、はり師・きゅう師の国家資格を取得し、地元兵庫県西宮市で「はり灸楊鍼堂」を開院。千葉の恩師から、参禅や滝行の修行を通して伝統医術を学ぶ。また、数名の先生から江戸時代の鍼術や道家気功鍼などを学び、難病や慢性疾患に対する臨床経験を多く積む。2015年に東京へ移転。2016年から、ポーランドやイタリアで鍼灸、気功、武術、導引按腹の出張講義を開始。2017年11月から、自由が丘で「漢方鍼灸 和氣香風」を妻とともに開業。

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