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公開日:2018.02.10 更新日:2020.05.1914628view

のどにもおなかのケアにも嬉しい「金柑のはちみつ煮」

薬膳常備菜Vol.21

風邪から体を守る

2月4日は立春。暦の上では春がやってきましたが、まだまだ寒い日が続きます。特に今年は、巨大寒波が訪れるなど、全国的に寒さが厳しい模様。立春を過ぎたとはいえ、まだまだ冬の養生が必要です。

寒さが厳しいせいもあり、今年もかぜやインフルエンザでダウンする人が多いようです。かぜもインフルエンザも、同じウイルス性の感染症。東洋医学では、こうした病気の原因は風の邪気「風邪(ふうじゃ)」によるものであると考えます。風邪の特徴のひとつが、熱や寒さの邪気と一緒になって体を襲うこと。どんな邪気を連れてきたかによって、症状が異なります。確かに、私の周りを見ても、インフルエンザB型で発熱した人、寒気がしてから咳のかぜに発展した人、おなかのかぜで下痢になる人と、症状はさまざまです。これが風邪の特徴なのですね。

この季節、風邪は体のすぐ近くまでやってきているとみて正解。邪気を体に侵入させないように、日ごろから予防策を講じることが重要です。手洗い、うがい、睡眠など、大切なことはたくさんありますが、日々の食べ物でも、体の抵抗力を高める工夫をしたいものです。

金柑で免疫力低下の原因ストレスもケア

風邪がまっ先に襲うのは五臓の「肺」。肺は鼻、のどの呼吸器粘膜も含む臓で、体表を守るバリア機能を担います。「肺」は、とてもデリケートな器官で、特に乾燥を嫌います。そこで取り入れたいのが、潤いを与え、「肺」の働きを順調にしてくれる食材。おすすめは、金柑です。

のどあめなどにも使われる金柑は、気の巡りを整える柑橘類。体を温める性質があるので、寒い時季にぴったりの食材です。五臓の「肺」、「脾」に働きかけるので、咳が出る、痰がとれないといった「肺」の症状や、二日酔い、おなかがゆるいといった「脾」(消化機能)の失調にも有効です。さらに、ストレスと関係のある「肝」の気の巡りを整える働きもあるため、イライラや抑うつといった精神的な症状にもおすすめ。免疫力低下の原因となるストレスもケアできるところが大きな魅力なので、緊張の中でがんばる受験生にも食べさせてあげたいですね。

今回ご紹介する薬膳常備菜は、「金柑のはちみつ煮」。おすすめ食材の金柑を、気を補い、潤いを与えるはちみつで煮たコンポートです。シロップと一緒にお湯で割って飲めば、のどを潤すおいしい「金柑茶」に。「かぜをひいたかな?」と思ったときは、おろししょうがを加えると、邪気を早期に発散させることができるでしょう。

形も色も可愛らしい金柑は、お弁当や食卓の色どりにも。季節のものなので、出回っている今の時季に作り置きし、楽しくおいしくかぜ予防してください。

【材料】
・金柑…200g
・三温糖…60g
・はちみつ…60g

【作り方】
①金柑はよく洗い、蔕をとり、縦に切りこみを入れて爪楊枝などで種を取り除く。
②沸騰した湯に①を入れ、2~3分ゆでる。
③鍋に三温糖、はちみつ、水1/2カップを入れて火にかけ、三温糖が溶けたら②を加え、フタをして弱火で10分煮る。

【食材メモ】
金柑:気の巡りを整え、抑うつやイライラをやわらげる。痰をとり、咳を止める。二日酔いにも。
はちみつ:気を補い、消化機能を助ける。肺を潤し、咳を止める、腸の乾燥を防ぎ便通を順調に。

甘いコンポートは、チーズとの相性が抜群! カマンベールチーズやクリームチーズにのせると、おしゃれなオードブルに。

岡尾 知子
岡尾 知子 - Tomoko Okao

漢方養生指導士(漢方上級スタイリスト)、国際中医師、国際薬膳師、鍼灸師。美容・健康をテーマに美容・健康エディターとして仕事をする中で東洋医学に関心をもち、漢方、中医学、薬膳を学ぶ。雑誌やラジオ、イベントなどを通じて、美容と健康のための薬膳や養生についての啓発活動を行う。はり師・きゅう師の国家試験に合格し、鍼灸師として東京の「池袋ひりゅう鍼灸院」で臨床にあたっている。詳しい情報は「LOTUS(ロータス)薬膳教室」「薬膳ノート」で検索を!

◎薬膳教室:「TUMUGU東京青山」http://www.tumugu-aoyama.jp/

◎HP:「薬膳ノート」http://www.yakuzennote.com

◎ブログ「Eat & Run! 岡尾 知子の美・薬膳な日々」http://ameblo.jp/yakuzen-navi/

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