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2018.02.011274view
春を告げる黄金色の花、山茱萸。赤い実は薬膳や尿漏れ・多汗に良い生薬に!

生薬の花めぐり(10)

「生薬の花めぐり」へようこそ!
このコラムでは、花を通して生薬に関係のある身近な植物や野菜などを紹介しています。みなさんが健康についての知識を増やせば、病気の苦痛や通院の苦労が減らせると思います。以前、「生薬の花めぐり(8)」でタンポポを紹介しましたが、たまたま見たテレビの中である芸能人が、有名になる前に経済的余裕がない時、タンポポを野菜として食べていたとのこと。これからの時期はサラダに入れるといいタンポポ、農家の方、化学肥料を使わず栽培してください!
今回は春を告げる花として有名になった、山茱萸(さんしゅゆ)の話です。どうぞお付き合いのほど、よろしくお願いします。

山茱萸といえば

山茱萸はミズキ科の落葉小高木。中国と朝鮮半島が原産で、中国の山西、陕西、甘粛などの地域に分布し、日本でもよく見られます。庭木にすることも多い木です。
高いものでは10m、小さいものでも2~3mになり、早春を代表する花木のひとつです。
葉の出る前に小さな茶色のつぼみが出て、暖かくなる3~4月に小さな黄色の花をたくさん咲かせます。満開になると、春の光を浴びて黄金色に輝くので「春黄金花(はるこがねばな)」と呼ばれます。花が咲き終わると葉が茂ります。春に花を、秋に真っ赤な実を観賞できます。

赤く熟したものは生薬になります。実は食べられますが、酸味が強めです。中国では山茱萸花の花言葉は「感謝と恩返し」なのだそうです。

私が見たのは、新宿御苑の千駄ヶ谷門に近い水辺と大木戸門の駐輪場でした。また、小平の東京都薬用植物園にも大きな樹が何か所にもあります。11月上旬、吉祥寺の井の頭公園でも赤い実を見かけました。
中国最古の生薬の書物『神農本草経』や明の時代の『本草綱目(ほんぞうこうもく)』の中にも山茱萸の記載があります。

山茱萸の実はたらき

生薬に使う場合は、熟した山茱萸の実から種を取り除いたものを乾燥させます。「山茱萸肉」「萸肉」と呼ばれています。アミノ酸、ビタミンAやビタミンCが豊富に含まれています。酸味と渋みをもち、体を温めるはたらきがあります。収斂と滋養強壮のはたらきがあり、漢方では、肝(血液を貯蔵、調整)と腎(生殖と泌尿)の不調や、以下の症状のあるときに使います。
①滋養強壮:加齢や出産などで足腰がたるい、貧血、耳鳴り、めまい、インポテンツ
②収斂:虚弱体質や過労などによる頻尿、尿漏れ、月経量過多、多汗、遺精

日本でよく使われる漢方薬にも配合されています。
六味地黄丸(ろくみじおうがん)八味地黄丸(はちみじおうがん)牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)など。

山茱萸の食べ方

山茱萸の果肉は健康飲料、ジャム、ドライフルーツなどとして食べられます。
中国には「是薬三分毒」という言葉があり、薬に使えるものは三分の毒があるという意味です。理由がなく長期に服用しない方が良いでしょう。また、合わない場合はすぐ止めましょう。

●お茶
乾燥した山茱萸肉をお茶として飲む場合は、症状の強さや好みによりますが、2~5gを目安に、600ccの水から煮出して15分前後で成分を抽出します。

●山茱萸粥
山茱萸肉をきれいに洗い種を取り除いて、米(白米、玄米)とお粥を作ります。とろとろになったら、好みで砂糖や蜂蜜を加えて出来上がり。
ナツメ、クコの実、山芋、陳皮、鶏肉、豚肉などとも相性が良いのでいろいろアレンジして楽しんでみてくださいね。

注意、禁忌:以下の場合は使用しないようにしましょう。
①かぜ、インフルエンザ、おたふくかぜ
②のどの腫れと痛み
③痰が切れにくい
④排尿痛を伴う膀胱炎
⑤皮膚炎、おでき、ニキビ、ものもらいなど、化膿を伴う炎症
⑥便秘
⑦体温上昇はなく、熱感やほてりがある時
⑧妊娠中

身近なところで花を咲かせ、春を告げる山茱萸を身近に感じていただけたでしょうか。

次回、3月は「桜」の話題をお届けします。お楽しみに!

劉 梅 –リュウ・メイ
[中医師 ・薬日本堂漢方スクール専任講師]
中国黒龍江省生まれ、黒龍江中医薬大学卒業後、ハルビン医科大学付属二院に内科医として臨床を経験。1994年に来日、北海道大学医学部客員研究員を経て、2001年、薬日本堂に入社。薬局勤務の傍ら漢方相談員の指導・育成に参加、TV・雑誌でも活躍する。主な著書『中国の女医さんが教えるおいしくて身体にいい中華』『病気・症状を改善 これならできる漢方ごはん』。

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