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公開日:2021.01.15 更新日:2021.01.159473view

お釈迦様の命を救った乳粥『ライスキール』

アーユルヴェーダ:古代の英知がもたらす養生術vol.3

今年は丑年、牛といえば…
こんにちは。アーユルヴェーダ担当の藤井です。
昨年はCOVID-19の流行で生活様式の変化に不自由さを感じる方もいたのではないでしょうか?
まだまだ気を緩めずに、今年も、引き続き体調に気をつけて過ごしましょう。

さて、今年は『丑年』。
皆さんは『牛』と聞くと何を連想されますか?私は『インド』です。

あれは25年ほど前、初めてインドを訪れた時のこと。
まず目に入ってきたのは、首都デリーの街中をウロウロ徘徊しているとっても沢山の牛達でした。また、駅のホームで電車を待っていると、なんと!線路上で牛が休んでる!!牛の向こうに電車は来ているのですが、牛がいるために動けません。
インド人曰く「人間が力づくで動かしてはいけないので牛が動くのを待っているのだ」と。人間の都合で牛を除けようとはせずに、牛の行動に任せる、そんな考え方にインドらしさを感じました。

私達が乗る予定だった電車は(各駅毎に牛が寝ているの?)8時間以上の遅れで、いつ来るのやら?
取りあえずやって来ていた電車に無理やり乗り込んだことが懐かしいです。

インドでは、『牛』は人々にたくさんの恵みをもたらす動物として大切にされています。
また、インドで信仰されているヒンドゥー教の神様『シヴァ神』の乗り物が『牛』です。その聖なる牛は『ナンディ』と呼ばれ、人々の祈りをシヴァ神に届けてくれる、大切な存在であり、信仰心の篤いヒンドゥー教徒は、牛のお肉を食べないのだそうです。

アーユルヴェーダ式牛乳の摂り方とは?
日本に牛乳が伝えられたのは奈良時代と言われ、日本の古い医術書『医心方』にも牛乳の効用が記載されているそうです。最近、日本では、アレルギーやコレステロールの問題などから、牛乳を控える人も多くなってきました。

アーユルヴェーダでは、牛乳だけでなく、牛乳から作られるギーやヨーグルトを、セルフケアや治療にも活用しています。アーユルヴェーダの古典書から『牛乳』を紐解いてみましょう。

「牛乳の味は甘味で、油性、重性、冷性、粘液性、緩慢性、柔性、清浄という属性をもつ」と記載されています。
牛乳の属性は、私達に喜びや活力をもたらす『オージャス』という精妙な物質の属性に似ていることから、「牛乳には滋養があり、体力、活力を増し、身体の強壮剤として最高のものである」とされます。また、「精神面では、心を穏やかにし幸福感を増すもの」とされています。

このように優れた作用のある牛乳ですが、アーユルヴェーダでは、牛乳の摂り方で、いくつか気をつけたい点があります。
① 冷蔵庫から出したばかりの温度では飲まない
② 甘味の食物と一緒に摂るのは良いが、辛味、酸味、塩味の食物とは一緒に摂らない
③ 食事(特に魚)と一緒に摂ってはいけない

消化を助けるために温めて飲んだり、ターメリックやシナモンなどのスパイスを活用するのもオススメです。
また、食べ合わせが悪いと毒を作るという教えがあり、その観点から、特に③の注意があげられます。

以前、アーユルヴェーダの先生が「日本人は牛乳の摂り方が良くないからトラブルが多いのではないかな?」と話しておりました。アーユルヴェーダの食事法では、摂り方は大切です。

釈迦を癒した乳粥(ライスキール)
牛乳を使ったインドのデザート『乳粥(キール)』を紹介します。
釈迦が、苦行をしても悟りは得られないとわかり、苦行を中断した時に釈迦はとても衰弱していました。その時に、村の娘スジャータから差し出された『乳粥』で体力を戻し、その後、瞑想によって悟れたそうです。

本来は、米から作りますが、今回は、簡単に冷やご飯から作ってみましょう。

《材料》
牛乳  300㏄
冷やご飯 1/2カップ
砂糖  10~20g(好みで加減する)
カルダモン 2~3粒(パウダーでも良い。ホールの場合は割っておく)
砕いたナッツ類(全て無塩でアーモンドやピスタッチオ、カシューナッツなど) 大さじ1程度
レーズン  10粒ほど 

《作り方》
① 上記の材料を全て鍋に入れ、中火にかける。
② 沸騰してきたら弱火にして、焦げないように、時々、かき混ぜながら10~15分位煮る。
③お好みのスパイスで味を調えて、できあがり。(カルダモンは取り除きます)
※温かいままでも、冷ましても召し上がれます。
※スパイスは、シナモンやナツメグなどもオススメです。



藤井 早苗
藤井 早苗 -Sanae Fujii-

『あたまから元気!』『ヘッド・リラクゼーション』等の著者、パティル・シーマ氏に師事。渡印を重ねアーユルヴェーダの知識、技術を学ぶ。現在は、おうちサロン『アーユルヴェーディックサロンあーと』を開き、仙台を拠点にアーユルヴェーダやヨーガセラピーの普及をしている。また、ハーブやスパイスを使った手軽にできる、美容・健康法のワークショップ・講座も行っています。

HP:http://ato8ayurveda.web.fc2.com/

FB:https://www.facebook.com/ato8ayurveda

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