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公開日:2025.10.01 113view

身体を潤す秋の薬膳トリセツ~秋の元気と潤い対策

プチ不調は自分でカイゼン Vol.78

乾燥の影響を受ける時期です
夏の暑さが和らぎ、過ごしやすい季節となりました。しかし、秋は空気が乾燥し、朝晩の気温差も大きくなるため、体調を崩しやすい時期でもあります。
漢方では、秋は「燥邪(そうじゃ)」という乾燥の邪気と「温燥(おんそう)」という熱を帯びた乾燥の邪気が身体に影響を与えやすいと考えられています。
特に、肺と大腸は乾燥の影響を受けやすく、咳や喉の痛み、肌の乾燥、コロコロ便秘といった不調が起こりやすくなります。
また、夏の疲れが秋になると現れやすくなり、カゼをひいて長引いてしまう方も多いようです。

これらの不調を未然に防ぎ、秋を健やかに過ごすためには、日々の食事で身体の内側から潤いを補うことが大切です。

旬の食材で体調管理
漢方では、「旬」の食材を積極的に取り入れることを大切にします。旬の食材は、その季節の気候や身体の状態に合わせて、私たちの体に必要な栄養やエネルギーを供給してくれるからです。

秋の潤い対策に特におすすめなのが、白い食材です。
漢方の「五行論」では、秋は「金」に分類され、五臓の「肺」と五色の「白」が対応しています。そのため、白い食材は肺を潤し、機能を高める効果が期待できるのです。

具体的には、以下のような食材を積極的に取り入れましょう。

大根(だいこん):消化を助け、身体の熱を取り除く作用があります。喉の痛みや咳にも有効です。

蓮根(れんこん):肺を潤し、咳や痰を鎮める働きがあります。食物繊維も豊富で、便秘解消にも役立ちます。

梨(なし):身体の余分な熱を冷まし、喉の渇きや咳を和らげます。潤い成分もたっぷり含まれています。

百合根(ゆりね):肺を潤すだけでなく、精神を安定させる「安神(あんじん)」の働きもあり、不眠やイライラにも良いとされています。

白きくらげ(しろきくらげ):優れた潤い効果があり、「肺の妙薬」とも呼ばれています。特に空咳や肌の乾燥に効果的です。

松の実(まつのみ):肺を潤し、コロコロ便や咳、皮膚の乾燥や髪の毛のパサつきに有効です。滋養の働きもあり老化予防としても使われています。

これらの食材は、旬の時期に最も栄養価が高く、美味しく食べられるので、日々の食卓に取り入れやすいのが魅力ですね。

また、秋は徐々に気温が下がるため、身体を冷やさないことも重要です。冷たいものの摂りすぎは、消化器系に負担をかけ、免疫力の低下にもつながります。

身体を内側から温める食材として、生姜(しょうが)、ネギ、ニラ、きのこ類、根菜類などが挙げられます。これらの食材をスープや煮物、鍋料理などに加えることで、美味しく身体を温めることができます。

特に、きのこ類は食物繊維が豊富で、腸内環境を整えることで免疫力アップにつながります。また、里芋やさつまいもといった根菜は、胃腸を丈夫にする働きがあり、秋の食欲の味方となってくれますよ。

ネバネバ食材の簡単潤いレシピ
ネバネバ食材には、納豆、長芋、オクラ、モロヘイヤ、なめこ、めかぶ、もずく、わかめ、昆布などがあります。食物繊維が豊富で、腸内環境を整える働きがあるのでこの時期特に意識して取り入れましょう。

●オクラと長芋のネバネバ和え
オクラと長芋が、胃腸の働きをサポートします。食欲がない時でもさっぱりと食べられる一品です。

【材料】
オクラ:5〜6本
長芋:100g
納豆:1パック
めんつゆ:大さじ1
わさび:お好みで少々

≪作り方≫
オクラはサッと茹でて小口切りにする。
長芋は皮をむき、サイコロ状に切るか、すりおろす。
納豆は付属のたれを加えて混ぜる。
ボウルにオクラ、長芋、納豆、めんつゆ、お好みでわさびを入れ、よく混ぜ合わせる。

鈴木 養平
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中

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