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公開日:2014.12.01 更新日:2020.05.228538view

立つのは意外と難しい!立って行う静功「站桩」の方法

劉梅先生の気功のおはなし⑤

実は私、コラムの連載は初めての経験です。連載も五回目を迎え、やっと慣れてきた気がします。「書く」といえば、普段は「です」「ます」ばかりの講義資料作りが多く、会話のような文章は意外に難しいことが今回よくわかってきました。気功のコラムを書くことが決まった時に「面白くて、読みたくなる文章にして欲しい」と言われたのが一番辛かったです。(涙)でも、始めたからには頑張りますので、皆さんもお付き合いくださいね!

今回は立って行う静功の一種「站桩(ジャンジュアン)」を紹介します。「站(ジャン)」は中国語では立つという意味です。「桩(ジュアン)」は地下に固定する柱のこと。「站桩」は両足が樹の根を地面に深くはっているような状態です。
立ち方は日常生活の基本であり、太極拳、武術、舞踊の基本です。最近ラテンダンスを習い始めて気がつきましたが、立ち方や動きの基本がかなり気功と似ています。気功の動きがラテンダンスの中に生きていることがわかります。

「站桩」の練習は、立ち仕事や満員電車での移動中にも役に立ちます。疲れにくく、バランスが崩れにくい立ち方だからです。練習を重ねると足が強くなっていきますので、転倒トラブルが多いご年配の方、ぜひ站桩を練習して転ばない体を手に入れましょう。「年を取るのは足から」と言いますよね。

立つことは「誰でもできる」と思うでしょう?これが意外に難しいですよ。まず、立った時に自分の重心はどこにあるか?胸を張っていないか?お尻を出していないか?すぐに答えられますか?站桩は調身(身体を整える方法)の中に含まれます。足が体を支えるため、足が強くなることは、体の基礎(基盤)がしっかりするともいえます。

それでは早速練習してみましょう。
①静かで心が落ち着く場所を選び、立ちます。

②体の力を抜いてリラックスし、体の重みを足底に預け、足底にある湧泉のツボが地面に貼り着くのをイメージしてください。

③心と身体が安定し、身体の中に大地から元気(栄養)が流れ込み、体内の濁気(病気)を吐き出すことができます。足=>大腿=>腰=>手足という流れを感じて行ってみましょう。

「站桩」には、高中低の3種類の姿勢があります。気功の経験がある方はご紹介する「自然式」にチャレンジしてみましょう。

①足は肩幅で並行に開き、足先が前を向くように立ちます。

②腕を身体の脇に自然に垂らし、全身をリラックスさせ、目は前方を見ます。そして膝を少し緩めて軽く曲げます。

③顎をやや引き、唇を軽く閉じ、肩の力を抜き、両脇を緩めます。

④胸やお尻を出さないように、おへそをやや引っ込め、膝を少しだけ曲げます。
(曲げすぎると膝を傷めるので気をつけましょう)

⑤自然呼吸から開始して、徐々に腹式呼吸に移行します。

⑥意識を丹田におき、その部分が暖かく熱を持つイメージをします。この熱の感覚を腹部全体に広げるように意識を集中させ、最後に深呼吸を3回、意識を丹田に収めます。

「站桩」は立って行う「打座」とも言われています。リラックスした自然の姿勢をとることによって、身体全体のバランスを整えるため、気功や武術、太極拳などの最も基本的な鍛錬方法とされています。神経の調節作用に優れており、緊張した状態から精神を安定させる効果があります。また、下肢の静脈の血流を促進するため、糖尿病による毛細血管の血流障害や高血圧による細動脈の痙攣などの回復作用もあります。

次回は医療気功の「八段錦」をご紹介します。

リュウ・メイ
劉 梅 – Mei Ryu[中医師]

中国黒龍江省生まれ、黒龍江中医薬大学卒業後、ハルビン医科大学付属二院に内科医として臨床を経験。1994年に来日、北海道大学医学部客員研究員を経て、2001年、薬日本堂に入社。主な著書『中国の女医さんが教えるおいしくて身体にいい中華』『病気・症状を改善 これならできる漢方ごはん』。

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