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公開日:2015.07.01 更新日:2020.05.223231view

『医心方』~長寿の秘訣は呼吸にあった!長~い息して、長生きしましょう

古典DE養生 第2巻

私は、健康診断が苦手です・・。
なぜだと思いますか?

血液検査の注射やバリウムを飲むのが嫌なわけではありません。
血圧を測られると思うだけで、鼓動が早くなるくらい大緊張してしまうのです。いわゆる白衣性高血圧!

お店で漢方相談をしているときには、自分が白衣を着ていたにもかかわらず、気にしないように意識すればするほど手のひらには汗びっしょりになります。

学生時代は、正常の血圧値を出すために保健室で横になり、絶妙なタイミングで保健の先生が測ってくれました。そのときのアドバイスは、“とにかく深呼吸を繰り返す”こと。

息という字は、自分の心と書きます。長く深く息をすることは、長生きにつながると言われています。漢方の考えでも、五臓で一番大切な心(しん)に火がつくと不安やあせり、手のひらに汗をかくなどの症状がでると言われています。私は、心に火がつきやすい体質のようです・・。

ストレスが多くの症状の原因となっている現代では、心を落ち着かせる養生、特に呼吸はとても大切。
6月のコラムで紹介した、日本最古の医薬学書である『医心方(いしんほう)』に、呼吸について以下のような記述があります。

仰向けに寝て鼻から深く新鮮な「生気」(夜中から昼までの気・陽気)を吸い込んだのち、しばらく息を閉ざして心の中で数をかぞえ、それからゆっくりと静かに口から古い「死気」(昼から夜中までの気・陰気)を吐き出す。この深呼吸を繰り返すなかで段階的にかぞえる数を増やしていくとともに、吸気を多くして吐気を少なくするように努め、さらに、そのとき心を虚にして服気を行うならば、体内の気を巡らせて病の原因となる気の鬱滞を防ぐことができる。
『医心方』巻27第4 「服気・調息による養生」の一節より

息を閉ざして心の中で数える数はせいぜい30から、がんばって60ぐらいでしょうか。
医心方には、200ほど数えるとあります。そこまでは難しいとしても、200を目指して日々鍛錬することは大切ですね。

医心方には、具体的な養生術が多く取り上げられています。
たとえば、
・18種の按摩(柔軟体操)法
・熊や鳥などの戯れる様子を模倣して体を動かす五禽戯の法
・歯を叩いて体中からわき上がって来る精気の玉水(唾液)を飲む法
・手をこすって熱くし、その手で顔や瞼をさする法
これらの動作を繰り返すことによって四肢や骨節中の悪気は抜け去り、それに代わって服気・調息により取り入れられた正気が全身に満ちるという。
『医心方』巻27第5 「気を養うための導引」より抜粋

私は、飲みすぎ食べ過ぎをしてしまった翌日の朝の通勤時は、歯は叩いていませんが、梅干の種を飴代わりに口の中に入れて、唾液を出すようにしています。胃腸が弱い方、体重を気にしている方にお勧めです!
実践する場合、油断して人前で種を出さないように注意してくださいね。

鈴木 養平
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中

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