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2017.11.202189view
30回で胃腸をいたわり、300歩で消化を助ける

気の省エネ生活 vol.5

脾(ひ)胃(い)は後天の本(もと)

前回、飲食によって気を損なわないために「食べ過ぎないこと」をお伝えしました。
飲食の仕方によっては脾胃(胃腸)が疲れて、結果として気を養う力が低下したり、気を消耗してしまうことがあります。

五臓が生ずるのは腎からである。生じてしまえば脾胃が中心になる。養生の道は、まず脾胃を調える必要がある。 (貝原益軒 『養生訓』 全現代語訳 訳:伊藤友信 講談社学術文庫)

先天の気は両親からいただき腎に蓄えられています。生まれたのちは自分で気をつくりだしますが、その中心は脾胃(胃腸)です。そのため、脾胃(胃腸)をさして「後天の本(もと)」と呼びます。この脾胃を調えることが養生の要であると考えます。

私自身の体調とお客様の健康相談をお受けしていた経験とから、胃腸が丈夫であることが病気になりにくく、病気になっても回復しやすい体づくりに大切だと感じています。
原始の生物はまず腸管があり、そのあとでその他の器官が発達したと聞きます。胃腸の強さは生命力の強さにつながるものと思います。

一口30回噛む

食べものの通り路は、口→胃→小腸→大腸・膀胱です。それぞれの部位で役割がありますので、内臓の負担を軽くするために口の中で出来る消化をきちんと行なってから次の胃へ送り出したいです。
そのために、食べものの堅さや胃腸の調子に合わせてよく噛むことを意識してみましょう。普段あまり噛まずに飲みこんでしまっている人は、一口30回を目安にしてはいかがでしょうか。

よく噛むことは胃腸にやさしいだけでなく、他にもいろいろな効用があるようです。
○消化を促進して内臓の負担を軽減する
○満腹感を得られやすく過食を防ぐ、肥満を防止する
○虫歯や歯周病の予防になる
○味覚の発達
○脳の発達、脳のはたらきを活発にする

新しい習慣をつくるには意識して継続しなければなりませんので、最初は大変かもしれませんが、よく噛むことはぜひ習慣にしたい健康法のひとつです。ゆっくりと食事をする、食事の時間を30分は確保する、噛んでいるときは箸を置くなど工夫をしてみましょう。そして慣れるまでは時々噛む回数を数えること、一旦習慣化されたと思っても多忙に過ごしているとつい早食いになり噛む回数が減っていきますので、月1、2回程度噛む回数を確認するとよいでしょう。

ちなみに、よく噛むことの効用についてお知りになりたい方は、「ひみこ(卑弥呼)のは(歯)はいーぜ」で調べてみてください。

食べた後300歩

 「食後はつねに三百歩ばかりあるくがよい。ときには五六町ほども歩くことはさらによいのである。」
 「食後に長く安坐してはいけない。さらに横になって眠ることは禁物である。」 


貝原益軒は『養生訓』の中で、食後は適度の運動をし、手足をよく動かし、気を循環させて飲食したものをよく消化させなければならないと述べています。食後に長く座り続けたり、すぐに横になって眠ってしまっては消化が滞り健康を害するということです。
食べたものは消化吸収されてはじめて栄養になります。消化吸収されなかったものは滞りとなって、気血の循環をふさぎます。

300歩はどのくらいの距離でしょうか。
私の場合、歩いて2、3分程度です。五六町ですとゆっくり10分位の散歩でしょうか。このくらいの動きでしたら家の中やオフィスでも出来そうですね。歩くスペースがなければ、ストレッチや腹部を撫でるといった動きでもよいと思います。

養生は十人十色。天・地・人(時・場所・人)に合わせて行ないます。飲食に関しても、からだに良い食べものは時・場所・人によって異なります。しかし、「食べ過ぎない、よく噛む、食べた後少し動く」ことは多くの人に有効な食養生だと思います。

このように、食養生については「何を食べるか?」だけでなく、「どのように食べるか?」ということも大切です。このコラムでは食材の性質や調理法とは別の視点で食養生を見直しています。次回、このことについてもう少し触れたいと思います。

飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]
静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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