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公開日:2016.08.01 更新日:2020.05.204711view

気血が消耗する夏の不眠対策に【なつめとツナのクスクスサラダ】

薬膳常備菜Vol.3

暑さが厳しい季節。寝苦しくてぐっすり眠れない夜が、続いていませんか? 睡眠は心身の疲労を取り除くのに最も有効な方法。質の高い眠りは、体の陰陽のバランスをとってくれるので、不調や病気の予防に不可欠です。
夏の不眠は、単に「暑いから」と考えがち。でも、漢方養生の視点で考えると、原因はそれだけではない! 見落としがちな要因が潜んでいる可能性があります。それは、多汗、夏バテによる気血の消耗です。
たくさん汗をかくと、体の構成要素である「気」「血」「津液」が消耗します。血は血液の機能であると同時に精神活動にかかわる存在。不足すれば、頭がぼーっとしたり、不眠に陥ったり、夜に何度も目が覚めるといった症状が起こりやすくなります。そこに、生命活動・代謝を主る気の不足が重なれば、消化機能が低下して血を生成するパワーも減退。夏バテ症状が、さらに不眠を悪化させることになるのです。

なつめと小麦の組み合わせがカギ!

そこで取り入れたいのが、古来より伝わる薬膳の知恵。おすすめ食材は、夏に消耗しがちな気と血の両方を補う「なつめ」です。
なつめは、別名「大棗(たいそう)」。漢方生薬でもあり、多くの漢方薬に配合されています。そのひとつが、「甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)」という薬。

なつめ、小麦、甘草の3つの生薬から成るこの薬は、血が不足して精神が不安定になり、眠りが浅くなるといった症状に用います。今回ご紹介する「なつめとツナのクスクスサラダ」、実はこの薬と同じ構成でできています。なつめに組み合わせたのは小麦が原料のクスクス。「甘麦大棗湯」と同じ、なつめと小麦の合わせ技なのです! 味付けは、食欲の出ない夏でも食べやすいカレー風味。冷蔵保存しておけば、作るのも食べるのも億劫になりがちな夏に便利です。不眠対策のほか、夏バテ予防にもなりますから、ぜひ作ってみてください。

【材料】(つくりやすい分量)
クスクス…100g
塩…小さじ1/2弱
オリーブ油…少々
カレー粉…小さじ1と1/2
なつめ(小粒)…10~12個
ツナ(缶詰)…100g
ピーマン…1~2個
塩・こしょう…少々

<ドレッシング>
オリーブ油…50㏄
白ワインビネガー…大さじ3
マスタード…小さじ1/2
はちみつ…小さじ1/2
塩・こしょう…適量

【作り方】
①水100㏄に塩、オリーブ油、カレー粉を入れて混ぜ、火にかけて沸騰させる。クスクスを入れて火を止め、7分程度おく。クスクスがふくらんだら手でほぐす。
②なつめは水で戻し、細かく切る。ピーマンは種を取ってリング状の薄切りに。
③ドレッシングの材料をボウルに入れて混ぜておく。
④クスクス、ツナ、②を合わせ、ドレッシングを加えて和え、塩・こしょうで味を調える。
※冷蔵で2~3日保存可能。

【薬膳食材メモ】
なつめ:気を補う補気の食材であり、血を補う力も。疲れ、食欲不振のほか、不眠、夢が多い、イライラ、鬱っぽいといった精神的な不調にも。
小麦:熱を取り除く性質があり、精神不安やイライラに。
ターメリック:カレー粉の主成分。血の巡りを促し、瘀血を取り除く。日本ではウコン(秋ウコン)、中国では姜黄(きょうおう)と呼ばれる。

※種をとったフルーツトマトのカップに詰めれば、ホームパーティにもおすすめのおしゃれな一品に。

岡尾 知子
岡尾 知子 - Tomoko Okao

漢方養生指導士(漢方上級スタイリスト)、国際中医師、国際薬膳師、鍼灸師。美容・健康をテーマに美容・健康エディターとして仕事をする中で東洋医学に関心をもち、漢方、中医学、薬膳を学ぶ。雑誌やラジオ、イベントなどを通じて、美容と健康のための薬膳や養生についての啓発活動を行う。はり師・きゅう師の国家試験に合格し、鍼灸師として東京の「池袋ひりゅう鍼灸院」で臨床にあたっている。詳しい情報は「LOTUS(ロータス)薬膳教室」「薬膳ノート」で検索を!

◎薬膳教室:「TUMUGU東京青山」http://www.tumugu-aoyama.jp/

◎HP:「薬膳ノート」http://www.yakuzennote.com

◎ブログ「Eat & Run! 岡尾 知子の美・薬膳な日々」http://ameblo.jp/yakuzen-navi/

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