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2017.06.011736view
キレイな花だけじゃない!芍薬は女性の強い味方!

生薬の花めぐり(2)

今回は芍薬の話をお届けします。

芍薬(シャクヤク)は、だいたい5月中旬に花を咲かせます。
ボタン科の多年草で、アジア大陸北東部の原産、高さは約60cmに達する植物です。
原種の花は白色で、花弁は5~13枚。
牡丹が花の王様「花王」と呼ばれるのに対し、芍薬は花の宰相「花相」、または「花仙」と呼ばれ、「愛情」の象徴となっています。約2000年前の『神農本草経』(もっとも古い生薬の書物)には、根を生薬とした記載があります。

中国では宋代から育種が始まりました。
日本では、江戸時代に鑑賞・園芸用に花の色や形を美しくするための品種改良が行われました。花の色はピンク、赤、紫、黄、緑、黒、二色など、形も菊やバラなどと似ているものが作られています。「一重咲き」と「八重咲き」があります。

花は牡丹に似ていますが、どこが違うのでしょう?
まず葉を見ると、芍薬は葉の数が多く、細長くツヤがあって、濃い緑色です。
牡丹は葉の数が少なく、幅広い葉に切れ込みがあり、ツヤがなく、緑色にくすんだ黄色が混じっています。そして、根本の茎の部分に皮がツヤツヤするのは芍薬、樹皮がゴワゴワしているのが牡丹です。
なぜなら牡丹が樹で、芍薬は草だからなんですね。
開花の時期も違います。牡丹は4月末に、芍薬は5月中旬に咲きます。牡丹が終わると芍薬の時期になります。

中国では、芍薬は「赤芍」と「白芍」に分けて使われています。
花の色に関係なく、根の外皮をつけたまま乾燥したものを「赤芍」、外皮を取り去ったものを「白芍」とするのが一般的です。
「赤芍」になるものは赤花が多く、野生のものが品質が良いとされています。産地は中国の東北や内モンゴル、四川など。四川産の赤芍は川赤芍、内モンゴル産の赤芍は多倫赤芍と呼ばれています。
芍薬のみならず、すべての生薬は品質、薬効を保つため、産地、品種、栽培、採収、加工方法などにこだわっています。このような生薬は「道地薬材」といい、良い薬の代名詞となっています。何故かといいますと、土、水、温度、湿度、日差しなどが、生薬の成分に大きく影響を与えるためです。
品種の安定は生薬の命とも言えます。こういった訳があって生薬は中国産に頼ってしまいます。

芍薬の花は食べられます。
気(元気、エネルギー)と血の巡りを良くするので、月経痛、月経不順、イラつきに良いとされています。
生の花弁、卵、小麦粉と合わせて、焼くか揚げます。「芍薬パンケーキ」「芍薬天ぷら」ですね。また、芍薬の花弁を酒に漬けると、芍薬花酒ができます。陰干した花弁はお茶やお粥に使います。

日本で処方に使われる芍薬は、だいたいが「白芍」です。
白芍は補血薬に分類され、血虚(貧血のような状態)や月経痛、手足がつった時の痛みを抑制する効果もあります。現代では、抗けいれん作用について研究されています。「赤芍」は清熱涼血薬に分類され、体を冷やす生薬です。火照りや発熱を伴う症状や病気に良いとされています。

また、芍薬は、四物湯当帰芍薬散加味逍遥散温清飲芍薬甘草湯小建中湯桂枝茯苓丸桂枝湯桂枝加竜骨牡蛎湯葛根湯小柴胡湯大柴胡湯など多くの漢方方剤に配合されており、私たちにとってなじみのある生薬です。

芍薬の魅力が伝わったでしょうか?!
立てば芍薬、座れば牡丹。次回は歩く姿は「百合の花」の話題をお届けします。
お楽しみに!

劉 梅 –リュウ・メイ
[中医師 ・薬日本堂漢方スクール専任講師]
中国黒龍江省生まれ、黒龍江中医薬大学卒業後、ハルビン医科大学付属二院に内科医として臨床を経験。1994年に来日、北海道大学医学部客員研究員を経て、2001年、薬日本堂に入社。薬局勤務の傍ら漢方相談員の指導・育成に参加、TV・雑誌でも活躍する。主な著書『中国の女医さんが教えるおいしくて身体にいい中華』『病気・症状を改善 これならできる漢方ごはん』。

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