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2015.08.01701view
『喫茶養生記』~長生きの人にお茶好きが多いのはなぜ?

古典DE養生 第3巻

 コーヒーや緑茶を日常的によく飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて病気などで死亡するリスクが低いとする研究結果を、国立がん研究センターや東京大の研究チームが今年(2015年)5月に公表しました。ニュースでも大きく取り上げられたので、耳にした方も多かったのではないでしょうか。

このニュースを漢方的に分析!!

「茶は養生の仙薬なり。延命の妙術なり」「一期(生涯)の健康を保つ根源は養生にあり。その養生をどうすればよいかというと、五臓を健全にすることである。五臓のうち特に心臓は中心をなすもので健全にしなくてはならない。心臓を健全にするためには茶を喫するのが一番の妙術である。心臓が衰弱すると、五臓のすべてが病を起こすことになる。」

 時はさかのぼること鎌倉時代、日本の茶祖と言われている臨済宗の開祖である栄西が、中国・宋に渡り、天台山にこもって禅宗の修行をしました。その時、お茶についての情報も収集した結果、お茶には健康長寿の効能があることを知り、帰国後の建暦元年(1211年)、71歳の年に書き上げた書が『喫茶養生記』。これはその一節、ここでのお茶とは抹茶のことです。鎌倉幕府三大将軍の源実朝に、茶を一服進上した際、その効能書として献呈したといわれています。

 お茶を飲むと長生きすることを、すでに800年前に、自らの著書に書いているのは驚きですね。当初は、お茶は薬とみなされておりました。ちなみに栄西は、平均寿命が25歳前後だった鎌倉時代に、なんと74歳まで長生きしました。

 漢方では、「肝・心・脾・肺・腎」の五臓が互いに助け合い、抑制しあって身体の健康を維持していると考えます。その五臓がそれぞれ好む味が五味であり、五味をバランスよく食すれば五臓は健全に保てると考えます。

五臓(ごぞう)肝(かん)心(しん)脾(ひ)肺(はい)腎(じん)
五味(ごみ)鹹(塩辛い)

 コーヒーとお茶に共通しているのは「苦味」、五臓の「心」が好む味ですね。漢方では五臓六腑を役人にたとえますが、「心」は「君主の官」と言われ臓腑の代表格です。五味の中でも一番摂りにくい「苦味」ですが、心を落ち着かせ、身体の余分な熱をとり湿気を除く働きがあります。季節では夏、一日の中では日中に摂ることがおススメです。

さてここで自己チェックをしてみましょう。鏡で自分の舌を見てください。舌先が赤くなっていませんか?
それは夏の暑さやストレスで「心」に火がついている状態です。
気持ちが落ち着かない、夢が多い、何度も目が覚めるなどの症状が出やすくなっていませんか?

そんなときこそ、「苦味」です!

コーヒーやお茶、季節の夏野菜(ゴーヤなど)を日々意識して摂るようにしてみて下さい。
長寿に繋がるのかもしれませんよ。

鈴木 養平 - Youhei Suzuki
[ 薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年宮城県生まれ。東北薬科大学卒業薬学部卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中。薬日本堂漢方スクール:http://www.kampo-school.com/

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