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公開日:2024.11.07 1077view

全身を整えるお手軽動養生~耳マッサージ

しなやかに巡るからだをつくる~動養生のポイント~Vol.5

寒い朝でも負けないこころとからだへ
今年も残すところあと2カ月を切りました。
陽光の暖かさを感じることができる昼間が短くなり寒くなってくると、朝なかなか布団から出られない、肩がすくんで上半身がガチガチに固まってしまう、何をするにも億劫で動作が鈍くなる…などといった場面が日常の中に目立ってきませんか?
「いかに身体を温めるか」というのが、これからの寒い日々を健やかに前向きに過ごすためのポイントになります。今回は、そのためのお手軽なセルフケア方法をご紹介します。

「経穴(けいけつ)」という言葉をご存知ですか?いわゆる「ツボ」のことです。
人間の身体には経絡(けいらく)という、気(生命エネルギー)や血の通り道があって全身に分布しており、経穴はその経絡にある反応点のことを指します。ハリやお灸、指などで経穴を刺激することによって、様々な不調を調整することができます。
また、反射区という各器官につながる箇所を刺激するのも健康回復に効果的です。耳に着目してみると、手のひらにすっぽりと収まるこの小さなスペースに、経穴や反射区といった「耳ツボ」が密集しており、その数は100以上にもなるようです。

耳は全身の縮図
あらためて、耳のかたちを鏡で観察してみましょう。
お母さんの子宮の中で頭を下、足を上にして身体を丸めている胎児のようにも見えてきませんか。そのようにイメージを重ねてみると、耳ツボの位置はとても分かりやすくなります。目や歯やあごなど、身体の上部にある器官につながるのは耳の下部である耳たぶのあたり、肩や胸、心や肺、脾や胃、小腸や大腸など胴体にある器官や臓腑につながるのは耳の中部、子宮や坐骨、膝やくるぶしなど下半身にある器官につながるのは耳の上部というように、上下反転して耳と全身が対応しているのです。

耳ツボの刺激には指で直接押す以外にも、王不留行(おうふるぎょう)というナデシコ科の植物の黒い小さな種や、金やチタンなど金属製の粒鍼をシールで貼って刺激する方法があります。耳ツボジュエリーといって、刺激する粒の反対側にスワロフスキーなどピアス感覚でつけられるものもあるようです。
私は実際、腰痛がつらかった時に鍼灸院で耳ツボシールを貼ってもらい、腰の鈍い痛みがスッと軽くなるのを即座に体感した経験があります。耳ツボと各器官はやはりつながっているんだなぁと感じました。その後も5日間くらいは貼ったままにして、気が付いたときに自分でシールの上から繰り返し刺激していました。
ただ、耳ツボは小さなスペースに密集しているため、専門家でなければ正確な位置をとらえるのが難しく、鍼灸院などで施術してもらう方がいいかもしれません。そこで、細かな位置は気にせず耳を全体的にマッサージすることで、全身を調整する手軽なセルフケア方法をお伝えします。

手軽に全身ポカポカ♪耳マッサージ
朝すっきり起きられない時にも、1日がんばって夕方に疲れが出た時にもおすすめです。            

①両方の手のひらで耳をおおい、上下にゆっくり5~6回こする。                         
②親指と人差し指で耳をつまんでひっぱる。

上の方から順に1か所あたり5~10回ずつ、ゆっくり軽くリズミカルに、次第に早く強くひっぱるようにする。 

③軽く手を握るようにして、親指とげんこつで耳全体を挟み、前後に5~6回ひねる。 

やってみるとわかりますが、とても簡単なのに効果はすぐに実感できます。耳を刺激しただけなのに、身体全体の気血の巡りが良くなり、温まってきます。
「運動すれば血行が良くなるのはわかってるけど、なかなかできないんだよねぇ」という方は、通勤途中の電車のなかでもできる楽々セルフケアとして、ぜひ実践してみてください。
まずはこの冬を例年よりも心地よく乗り切るために、ご家族や同僚、お友だちにも教えてあげてくださいね!

林 美穂
お茶の水女子大学文教育学部卒業。中国人の夫との国際結婚をきっかけに、中医である義祖父の影響で東洋医学や薬食同源の考え方に出逢う。2011年に薬日本堂入社。相談員として臨床経験を積み、2020年までカガエ カンポウ ブティック京都河原町店の店長を勤め、京都の老舗料亭やホテルでの漢方セミナーも複数開催。現在は二ホンドウ漢方ブティック梅田阪神店にて上級相談員として女性のさまざまなお悩みに向き合いながら、漢方スクール大阪校にて講師を務める。四児の母。
ニホンドウ漢方ブティック梅田阪神店
薬日本堂漢方スクール

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