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公開日:2023.03.25 更新日:2023.05.012174view

ポツポツ、カサカサ、痒み…揺らぎやすい春肌対策

漢方であなたを応援vol.12「春の揺らぎ肌」

揺らぎやすい春肌
ポカポカ陽気の春本番。
草木が芽生えて気持ちも明るくなるはずなのですが、この時季に肌トラブルが増えて気分がダウンする方も多いようです。
3~4月の漢方相談内容をみると、例年、ニキビや肌の痒み、湿疹などの相談が増えます。
なぜでしょう?

春肌の揺らぎは春の陽気と関係があります。
中国の古典『黄帝内経(こうていだいけい)』に「春は発陳(はっちん)」という表現があります。冬の間にため込んでいた古いものを外に発散させる、息を潜ませ閉じこもっていたものが外に姿をあらわす、という意味がこめられているようです。
体内にこもっていたものが、湿疹や吹き出物、ニキビとして体表にあらわれやすいのも、この動きに連動しているからです。

肌を揺さぶる春の風、風邪
さらに春は、春一番を代表とする風が吹きやすい季節です。
風は花の香りを運んできますが、厄介な花粉や黄砂なども巻き上げて体表にぶつけてきます。
これらは肌の刺激になり、炎症や痒みを引き起こします。花粉症の時期に滝のような鼻水ではなく、目や鼻、肌の痒みに悩まされる方も多いのではないでしょうか。

漢方では病気の原因になる季節の外気を六淫(りくいん)といい、春の不調を引き起こす風は風邪、ふうじゃと呼んでいます。
風邪の特徴には次のようなものがあります。

<揺り動かす>
体内の水が揺り動かされて鼻水があふれる、体表が揺り動かされて痒みが出る、頭が揺れるとめまいになるなど
<症状が動く>
症状があちらこちらに移動し出たり引いたりを繰り返す

肌に潤いを与え、炎症を鎮める
この時季の養生で大切なのは、風邪が運んでくるものに当たり過ぎないこと。
マスクやめがね、薄手の上着で防ぐ、うがいや洗顔・洗眼などで洗い流すなどを心がけましょう。
炎症を鎮める成分の入った化粧水で肌に水分を補い、油膜で守れるように乳液やクリームをつけることも忘れずにおくとよいですね。

植物の力は、日常の食べ物や飲み物、外用として活かすことが出来ます。いくつか紹介しましょう。

<ドクダミ=十薬(じゅうやく)>
ドクダミは炎症を鎮め、排便を促すことで毒出しを助けます。お茶として飲む、煮出したものを入浴剤として用いるなどが出来ます。化粧水に配合されているものもあります。

<ミント=薄荷(はっか)>
ミントは炎症を鎮め、痒みを和らげます。外用の痒み止めに配合されているメントールという成分が、ミントの主成分です。スーッと爽やかな香りは痒みでイライラしがちな気分も鎮めてくれます。

<リコリス=甘草(かんぞう)>
多くの漢方薬に配合されている甘い生薬。グリチルリチンという成分は甘味料であり、抗炎症作用もあるため、のど飴や化粧品にも配合されています。

<菊の花=菊花(きっか)>
菊の花はめまいやのぼせ、目の不調などに有効です。生のものはサラダやおひたしに和える、乾燥したものはお茶にブレンドするとよいでしょう。特に目の痒みが気になる花粉症の方にはおすすめです。

4つを合わせたブレンドティーは気軽に作れて美味しく飲めます。試してみてくださいね。
他にも食材では、菜の花やセロリ、イチゴなども春の不調予防に有効です。

漢方では、肌の不調はガラスを磨くように、内側と外側、両方から養生します。その方の状態に応じた漢方薬や化粧品のご提案をいたしますので、お気軽にご相談ください。

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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