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公開日:2023.01.20 426view

花粉症と小青竜湯

漢方薬のつぶやき vol.3

一夜にティッシュ1箱
『水の滞りを持っている人が、カゼのような外感病にかかり、
咳や喘息、痰、鼻水を生じたときに用いる。
鼻水は水様性で一夜にティッシュ1箱使ってしまうのが特徴』

小青竜湯について漢方の解説書にこのように表現されています。
今回は春の花粉症に繁用される小青竜湯を紹介します。

春の花粉症といえば、くしゃみ、鼻水、咽喉と目の痒みが主な症状です。
特徴的なのは、透明な鼻水が水のようにたくさん出ること。

身体の中の状態は外にあらわれると漢方では考えます。
花粉症でわずらわしい多量の鼻水は、身体の中に何があるのでしょうか?

症状は身体からのサイン
「透明で水様性の鼻水が多量に出てくる」
この症状からわかることは2つあります。

ひとつは、身体に冷えがあること。
色が透明で粘性が少なく流れ落ちるような鼻水は、身体が冷えていることをあらわします。
2つめは、水の滞りがあること。
一夜にティッシュ1箱とまではいかなくても、ティッシュが手放せないほど多量の鼻水が出るのは、身体の中に余分な水が停滞していることを示します。

水が体内に停滞している状態を、漢方では「水滞(すいたい)」といいます。

つまり、「透明で水様性の鼻水が多量に出てくる」のは、
身体に水滞があって、かつ冷えていることのあらわれです。

花粉症でお困りの人は、冷えや水滞があることに気づいていますでしょうか?
症状は身体からのサインです。
ちなみに水滞では鼻水のほかに、むくみ、身体が重だるい、軟便、湿気や雨で具合がわるくなる、乗り物酔いといった症状が起こります。

小青竜湯が効く鼻水のタイプ
小青竜湯は身体を温め、水滞を除去する作用があります。ですから、「透明で多量の鼻水」に効果を発揮します。

ところで、鼻水の種類には、透明で粘性が少なく水っぽいもののほかに、黄色く粘り気があって鼻がつまりやすいものもあります。
黄色く粘性のある鼻水・鼻づまりは、身体に熱がこもっていることを示します。

鼻水・鼻づまりには冷えタイプと熱タイプがあって、使う漢方薬が異なることを知っておくと漢方薬の安全な服用につながります。

繰り返しになりますが、小青竜湯が適用するのは冷えタイプで、鼻水の色は透明で粘性が少ないこと。花粉症に限らずカゼによる鼻水にも使えます。

服用方法と注意点
小青竜湯の服用については用法用量に従い、一日の服用量を超えないようにしましょう。
花粉症の程度によりますが、朝1包服用するだけで一日症状がおちついて過ごせる場合もあります。ですので、必ずしも一日3回で継続服用しなくても、必要な場面で必要量だけ用いるという頓服的な飲み方ができます。

注意点は、長期間服用を続けないこと。
くしゃみ・鼻水など花粉症の症状が落ち着いたら服用を休止してください。

小青竜湯は体内の冷えと水滞を除去して、症状を和らげる漢方薬ですが、冷えと水滞が生じるそもそもの原因は、飲食の仕方や胃腸虚弱などです。

花粉症の症状が出ないように体質改善をしたい場合は、生活養生と合わせて人それぞれ体調・体質に合った別の漢方薬を選ぶことになります。


飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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