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公開日:2022.11.20 更新日:2022.11.202508view

漢方より有名な葛根湯

漢方薬のつぶやき vol.1

葛根湯はどのカゼに効くのか?
江戸時代に「葛根湯医者」という言葉があったようです。
急性病から慢性病まで広い範囲の病気に使用されていたのでしょう。
現代でも多くの人が「漢方のことはわからないけど葛根湯は知っている」のではないでしょうか。
ある意味、漢方より有名な葛根湯。
ということで、新コラム『漢方薬のつぶやき』は葛根湯から始めます。

カゼといえば、葛根湯。ですが、カゼには種類がありますので、葛根湯がすべてのカゼに適用するわけではありません。

ひき始めのカゼ、咽喉のカゼ、鼻のカゼ、咳のカゼ、お腹のカゼ、長びくカゼなどと一般的には言いますね。

漢方ではカゼは4つの種類に分類します。
①風寒のカゼ、②風熱のカゼ、③暑湿のカゼ、④正気不足のカゼ、です。

葛根湯が適用するのは、①風寒のカゼ。
その症状は、
寒気と発熱を中心に、節々の痛み、頭痛、鼻水、軽度の咽喉痛を伴うことがあります。鼻水は透明でサラサラしています。
そして、汗をかいていないことも葛根湯を選ぶポイントです。

葛根湯ではないカゼ
ついでながら、
症状は上記と同じだけれども汗がジト~と出ているときは、桂枝湯(けいしとう)という処方です。
また、寒気はあまりなく、咽喉の炎症(赤み・腫れ・痛み)と発熱が中心となる症状の場合は②風熱のカゼで、軽度であれば銀翹解毒散(ぎんぎょうげどくさん)が使われます。

同病異治(どうびょういち)。
同じ病気でも治し方が異なるという意味です。

アトピー性皮膚炎だからこの薬、更年期障害はこの薬、という考え方ではなく、その人にあらわれている症状と体質を考慮して漢方薬を選ぶ、これは漢方医学の特徴のひとつです。

このようにカゼといってもすべてが葛根湯ではないのです。

いつ飲むのが効果的か?
葛根湯は服用のタイミングが合うと、その効き目の速さは見事です。
服用から20~30分後には効果を発揮して、カゼをひく前に治る(?)という不思議なことが起こります。

ではいつ飲めばよいのか?

一言でいうと、寒気を感じたとき。
衣類を羽織っても、布団をかけても治まらないような寒気です。

この段階で葛根湯を服用すると、20~30分後に温かくなってきて軽く汗ばみ、寒邪が抜けていきます。
寒気がとれれば一回の服用でOK。

葛根湯は上手に使うとカゼをひかせない薬になります。
服用のタイミングが大事なので、私は葛根湯を常時携帯するポーチに入れています。

しかし、服用の絶妙のタイミングを逃してカゼをひいてしまった場合は数回~数日服用を継続します。
漢方薬の中には長期間継続して服用出来る処方がありますが、葛根湯はどのくらいの期間服用するのでしょうか?
次回、服用期間や注意点についてお伝えします。


コラム『漢方薬のつぶやき』では、漢方薬の効能と使い方のほか、薬を通して漢方医学の身体の見かたや病気の捉え方を情報発信していきます。
毎月20日公開、どうぞお楽しみに。

飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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