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公開日:2021.06.05 更新日:2021.07.156221view

[あさイチでも注目]トウモロコシの水を巡らせる力…ひげを使って薬膳茶にも

季節を感じて気軽に薬膳 vol.5

稲や麦を育てる雨が降り始める「芒種」
二十四節気の芒種、稲や麦などの種をまく時期で、この頃から雨の日が多くなります。
今年は、西日本の梅雨入りが例年になく早いのが話題になっています。

これから傘の出番が増えるにつれて重要なのが、雨天の過ごし方、湿気対策です。
既に身体が重だるい、手足がむくんで関節がこわばる、頭が重く痛い、お腹がゴロゴロして軟便気味など、水たまりの症状が出て困っている方もいるのではないでしょうか?

まずは水分の摂りすぎに注意しましょう。
少量ずつ、こまめに飲むのが鉄則です。
さらに、少し汗がかけるくらいの運動や入浴をこころがけてください。

胃腸の元気を補い、水を巡らせるトウモロコシ
水たまりによって一番困るのが五臓の脾(ひ)です。
脾は飲食物の消化吸収を担うお腹のあたりと考えてください。
冷たい飲み物を摂りすぎると、お腹のあたりでちゃぽちゃぽと音が鳴り、ひどいと吐き気や軟便・下痢などの症状があらわれます。

そこで大切なのが、胃腸の元気を補って水を巡らせること。
それにもってこいの食材が、NHKの番組「あさイチ」でも紹介されて、注目を集めているトウモロコシです。

夏に旬を迎えるトウモロコシの甘い実は、胃腸の元気を補います。
さらに水巡りをよくする働きがあるので、蒸し暑い時期に茹でたり焼いたりしたトウモロコシを食べるのは、理にかなっているのです。

トウモロコシは身体を強く温めたり冷やすなどの偏りがありません。
暑さをしのいで元気を補いたい時は、ハトムギや冬瓜などの冷やす食材を合わせます。
トウモロコシごはんにハトムギを加える、トウモロコシと冬瓜でスープにするなどは、手軽な薬膳と考えます。 

逆に冷房や冷たい飲み物で冷えている時は、生姜や玉ねぎなどの温める食材を合わせます。
卵も加えたコーンスープに生姜のすりおろしを加える、生野菜のサラダにオニオンスライスとコーンを加えるなども、この時期に有効な食べ方です。

トウモロコシのひげで作る薬膳茶
漢方では、トウモロコシのひげを南蛮毛(なんばんげ)と呼び、水巡りの生薬として活用します。
ひげがついているトウモロコシを見つけたら、有効活用してください。

トウモロコシごはんを炊くときに、実を取り去った芯も出汁としてお釜に入れますが、ひげも細かく刻んで加えたり、だしパックに入れて炊くと、成分がよく出て水巡りの効果がアップします。

お茶であれば、より手軽に水巡りの効果が得られます。
ひげのきれいな部分を水洗いしてから、天日干しして乾燥させます。
フライパンで乾煎りすると、より香ばしい味に仕上がるのでお試しください。
 
今回は、胃腸の働きを高めて水巡りを良くするブレンドを紹介しましょう。

ティーポットに南蛮毛を大さじ山盛り2杯、焙じハトムギ大さじ1杯、乾燥させたみかんの皮小さじ1杯を入れて、熱湯500ccを注ぎ3分蒸らします。

ハトムギは水巡りを助け、みかんの皮は胃腸の調子を整えます。
甘味の中にスッキリとした味わいも加わるので、飲みやすいブレンドです。
梅雨や夏など蒸し暑い時に、身体の内側から水たまりを解消しましょう。

【薬膳食材メモ】
トウモロコシのひげ(南蛮毛):水を巡らせて、むくみや排尿トラブルを解消する
みかんの皮(陳皮):お腹を温めて気を巡らせる
ハトムギ(薏苡仁):余分な水を取り除き、むくみや吹き出物を解消する




齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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