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公開日:2019.12.10 更新日:2020.05.153763view

冬の寒さ対策!“鮭”で元気を補い血めぐりアップ

「七十二候」の旬を愉しむ季節の養生 vol.4

冬至は陰極まって陽になる「蘇りの日」

日に日に寒さが厳しくなってまいりました。
12月22日には冬至を迎えます。冬至は一年で最も昼が短く夜が長くなる陰極まる日です。

太陽のエネルギーを受けにくく寒さも増すこの時期は、身体の活動エネルギーが弱まり、血行も悪くなり新陳代謝も低下してきます。自然界の動植物達は、それぞれの冬支度を整えて静かに春の訪れを待ちます。

一方、冬至はこの日を境に日が長くなることから「蘇りの日」「復活の日」とも言われ、古いものを捨て新しいエネルギーを取り入れる大切な日とされています。
日本では古くから冬至に、柚子風呂で身体にたまった冷えや疲れを癒し、身体を温め「気」を補うかぼちゃで体力を養います。年の終わりと始まりには一年分の疲れを取り去り、心と身体に新鮮なパワーを取り入れていきましょう。

古来の暦である「七十二候」からも大自然の生き物の冬の営みが感じられます。
このシリーズでは、古来の暦である「七十二候」から、季節に育まれた自然の恵が、季節の暮らしや身体にどのように関わってきたのかを辿っていきます。

鱖魚群がる(さけむらがる)大雪・末候

年末の「二十四節気」と「七十二候」をみてみましょう。




本格的に雪が
降り始める頃
初候
12/7~
六十一候 閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)
天地の陽気がふさがり真冬が訪れるころ
次候
12/12~
六十二候 熊蟄穴(くまあなにこもる)
熊が穴にこもって冬ごもりをするころ
末候
12/17~
六十三候 鱖魚群がる(さけむらがる)
鮭が群れをなして川を鱖るころ

一年で最も昼が
短く夜が長い頃
初候
12/22~
六十四候 乃東生(なつかれくさしょうず)
うつぼくさの芽が出始めるころ
次候
12/27~
六十五候 鹿角解(しかつのおつる)
鹿の角が抜け落ちて生え変わるころ
末候
1/1~
六十六候 雪下出麦(せつかむぎいだす)
雪の下で麦が芽を出すころ

これからが冬も本番というところですが、12月17日~の七十二候では「鮭の遡上」の情景が描写されています。
鮭は9~12月頃、産卵のために生まれた川へ群れを成して帰ってきます。そして、産卵という大きな仕事を終えた鮭たちは力尽きてしまいますが、それは新たなる命へと受け継がれていきます。

人間にとっては、遡上する前の鮭は脂がのって旬となり、美味しくいただける時期です。鮭と人間との関わりは古く、貝塚からその骨が発見されたことから縄文時代にはすでに食されていたことがわかっています。今や食卓の定番ともいえる鮭は日本人にとってはなじみの深い食材ともいえるでしょう。

鮭は寒い冬を乗り切る貴重な食材

鮭には身体を温める性質があり、秋から冬の薬膳に使われる食材です。
鮭のはたらきや特徴をみてみましょう。

【五性】温・・・身体を温める
【五味】甘・・・甘味をもつ
【帰経】脾・・・胃腸のはたらきを助ける

漢方では、胃腸は食べ物から元気を生み出す源と考えられています。胃腸が冷えるとそのはたらきが鈍り、上手く元気を生み出せなくなります。
鮭は胃腸を温め消化吸収を助けるはたらきがあり、冷え性や胃弱、疲れに最適な食材です。また、血のめぐりや水分代謝をよくするので、血行が悪く代謝が低下しやすい冬の身体には貴重な食材です。

鮭と生姜のポカポカスープ

今回は、鮭を使って温まるスープに仕立てました。
寒さがやってくる秋から冬の身体を養ってくれそうです。

鮭と生姜のポカポカスープ
材料(4人分)
・生鮭…2切れ
・大根…6㎝程度
・油あげ…1枚
・生姜…20g程度
・水5カップ
・みそ…大さじ2.5

作り方
① 鮭は2~3に切り、大根は厚さ0.5㎜くらいのイチョウ切りにする。
  油揚げは食べやすい大きさに切る。
② 鍋に水と大根と入れ中火にかけ、大根が透明になってきたら鮭を入れる。
③ 鮭が煮立ったら、味噌を溶かし入れ、油あげを入れて5分程弱火で煮る。
④ 火を止めて細切りにした生姜を加える。

鮭は味噌との相性がよいので、冬の冷え対策には三平汁や石狩鍋など、味噌鍋で頂くのもおすすめです。身体がポカポカして寒さも吹き飛びます。

山吹 育恵
山吹 育恵 - Ikue Yamabuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

東北医科薬科大学を卒業後、病院勤務を経て1990年薬日本堂入社。 2011年までニホンドウ漢方ブティック仙台トラストシティ店で店長を務めた後、20年の臨床経験を活かし、漢方スクールの講師と社内相談員の学術支援に携わる。大自然の力に魅せられ、自然農の考えに触れたことをきっかけに15年前より自らも農業を実践中。

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