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公開日:2025.05.01 更新日:2025.05.011179view

「しあわせは食べて寝て待て」から学ぶ“ゆる薬膳”

プチ不調は自分でカイゼン Vol.73

薬膳とは身体を整える食材をとりいれること
ご縁があり、NHKドラマ10「しあわせは食べて寝て待て」の薬膳考証をさせていただきました。
このドラマで薬膳に興味を持った方も多いのでは?
薬膳というと、難しそう!敷居が高い!と思われがちですが、そんなことはありません。季節や体調に合わせた素材を普段の食事やお茶に取り入れることも、薬膳になります。

今回はドラマで取り上げられた薬膳素材の解説をしていきたいと思います。
ゆるーく生活にとりいれてみてはいかがでしょうか。

1話 ちょっとした風邪症状に大根!?生姜!?
お部屋の内見をしているときに頭痛になり、大根をポリポリ食べて症状が軽減しましたね。
また、肉団子と野菜のスープには、シメジやキャベツと一緒に生姜がはいっており、ゾクゾク風邪にいいとおいしく食べていました。

大根も生姜も辛みの食材。
辛みには発散の働きがあるので、風邪の予防に使います。
大根は涼性なので、のど風邪に、生姜は温性なので、ゾクゾク風邪に使います。

冬は特に空気が乾燥しているので、のどのケア、防寒は必須です。
バスの中で冷風にあたり咳が止まらなくなったときに、杏(あんず)を口に入れてケアしていました。
杏には肺を潤し、咳を止める働きがあるので、から咳におすすめです。

2話 春は青食材 梅雨は黄色食材
春は青食材、特に香味野菜は気の巡りをよくしてくれますので、この時期乱れがちな五臓の肝をケアしてくれます。

肝が乱れると、ストレスをためやすくイライラして怒りっぽくなります。
三つ葉を入れた卵焼きはおいしそうでしたね。
セロリや春菊、シソ、パクチーなど、気を巡らいたいときは意識して取り入れてみてください。

また、オフィスではジャスミンティにみかんの皮(陳皮)を入れていました。
陳皮は、気の巡りだけでなく水巡りもよくしてくれるので、ジメジメした時期にはおすすめです。

漢方では、黄色い食材は元気を出す食材と考えます。
季節の変わり目にケアをしたほうがいい、五臓の脾が好きな色です。脾が乱れると、食欲不振、体が重だるい、などの症状があらわれます。
トウモロコシ、かぼちゃ、大豆、栗、はちみつ、玄米などは、脾を補ってくれる食材なので、元気がないとき、だるい時は意識して取り入れてみてください。

3~4話 お粥は最高の養生食 秋は白食材
お粥は病人食と思われがちですが、体調を崩したときに身体を回復するうえで、最高の養生食です。1000年以上前に中国で編集された、仏教関連の書物にこのような記載があります。

◎粥有十利(しゅうゆうじり)
一、 【色】 体の血つやをよくします
二、 【力】 気力を増進させます
三、 【寿】 寿命をのばすされています 
四、 【楽】 食べ過ぎを防ぎ身体が楽になります
五、【詞清辯】 頭がさえて言葉がなめらかになります
六、【宿食除】 胸やけを防ぎます
七、 【風除】 風邪をひかなくなります
八、 【飢消】 消化よく栄養となって飢えを満たします 
九、 【渇消】 のどの渇きを止めます
十、【大小便調適】 便通をよくします

このような十の功徳があると、お粥に対する見方が変わってきますね。

また、秋は白い食材がおすすめです。
白は潤い食材で、この時期乱れがちな五臓の肺をケアしてくれます。
肺が乱れると、のどの不調、咳、声がれ、鼻水、肌荒れなどが起きやすくなります。

山芋(とろろ)、レンコン、大根、白ごま、白きくらげ、ゆり根など白食材を意識して取り入れてみてください。

鈴木 養平
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中

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