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公開日:2020.04.10 更新日:2020.05.224195view

湧き上がる春の生命力で心と身体の邪気払い!

「七十二候」の旬を愉しむ季節の養生 vol.6

「山笑う」春の到来です
いよいよ春も本番!これからはより一層、陽気が盛んになり自然界では生き物の活動や草木の成長も盛んになる季節です。
春の季語に「山笑う」という言葉があります。寒い冬に葉を落として息をひそめていた木々や針葉樹ばかりの少し殺風景な景色から、暖かい日差しを浴びて淡い若葉色や萌黄色に芽吹き始め桜の花があちこちに淡いピンクの色を添えていく山々の姿を眺めていると心も身体もウキウキしてきます。
この季節は、次第に彩りが豊かに移り変わっていく自然の風景を楽しみながらのんびりと過ごしていきたいものです。

七十二候で感じる“湧き上がるエネルギー”
三月~四月の七十二候の中には、生き物や植物が活発になる姿が多く描かれています。
どのようなものがあるか探してみましょう。

《三~四月の七十二候》

啓蟄-次候
3/10頃~
八候 桃始めて笑う(ももはじめてわらう)
桃の花が咲き始める
啓蟄-末候
3/15頃~
九候 菜虫化蝶(なむしちょうとなる)
青虫が羽化してモンシロチョウになる
春分-初候
3/20頃~
十候 雀始巣(すずめはじめてすくう)
雀が巣を作り始める
春分-次候
3/25頃~
十一候 桜始開(さくらはじめてひらく)
桜の花が咲き始める

清明-初候
4/4頃~
十三候 玄鳥至(つばめきたる)
燕が南からやってくる
清明-次候
4/9頃~
十四候 鴻雁北(こうがんかえる)
雁が北へ帰っていく
穀雨-次候
4/25頃~
十七候 霜止出苗(しもやんでなえいづる)
霜が止み苗が生長する
穀雨-末候
4/30頃~
十八候 牡丹華(ぼたんはなさく)
牡丹の花が咲く

春の訪れとともに、季節は目まぐるしく移ろいでいきます。桃、桜、たんぽぽ、チューリップ、牡丹などの花々が次々と咲き始め、菜の花の周りではモンシロチョウが飛び回る景色がみられます。チュンチュンと雀がさえずる春の朝。暖かくなってくると南の国で避寒していた燕が生まれ故郷の日本に帰ってきて巣作りをする一方、冬鳥である雁が北へと旅立ちます。苗代では稲の苗がすくすくと成長し、目に入るもの全てが生き生きと感じられるこの季節は、私たちの心も身体も清々しく暖かいエネルギーに包まれています。

春のエネルギーは心と身体のごちそうです
春のエネルギーを満たすために、次の3項目を意識してみましょう。

1.早起きして、春の朝日をたっぷり浴びましょう
あたり一面に満ちている陽気を身体じゅうに取り入れて湧きあがるエネルギーをのびのびさせてあげましょう。

2.森林を散歩してみましょう
春の森林は、植物が芽吹き、動物が活発に動き出す生命力に満ちたパワースポットです。

3.ストレスを解消しのびのびと過ごしましょう
冬の間に縮こまっていた心と身体をストレッチやヨガ、気功などで十分伸ばしてあげましょう

旬の“よもぎ”で邪気払い!
草餅やよもぎ茶など古くから身近な薬草として親しまれてきたよもぎ。
野山や土手、道端などに自生しているキク科の多年草で、春になると一気に芽吹き3~5月の新緑の時に食べごろを迎えます。
四方八方に繁殖するほどの強い生命力を持ち、若葉のさわやかな香りは古代より邪気を払うと信じられ、魔よけや邪気払いとして使われてきました。
漢方ではよもぎの葉は艾葉(がいよう)とよばれ、身体を芯から温める生薬として冷え症や冷えからくる痛みに応用されています。手軽に入浴剤として用いてみませんか?

《よもぎ風呂 》
乾燥させたよもぎの葉30gをお茶パックや布袋に入れて浴槽に入れゆっくり浸かりましょう。
よもぎ風呂は身体を内側から温め、冬から引きずってきた春先の冷えをとり回復力を養います。
三寒四温の春は心も身体も不安定な時期、よもぎの清々しい香りは憂鬱な気持ちをスッキリさせてくれます。


山吹 育恵
山吹 育恵 - Ikue Yamabuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

東北医科薬科大学を卒業後、病院勤務を経て1990年薬日本堂入社。 2011年までニホンドウ漢方ブティック仙台トラストシティ店で店長を務めた後、20年の臨床経験を活かし、漢方スクールの講師と社内相談員の学術支援に携わる。大自然の力に魅せられ、自然農の考えに触れたことをきっかけに15年前より自らも農業を実践中。

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