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2017.12.011330view
食用野菜になるタンポポは天然の抗生物質!ニキビやおできに良い生薬!

生薬の花めぐり(8)

「生薬の花めぐり」へようこそ!
このコラムでは、生薬の花を通して、生薬のことを知っていただきたいと思っています。12月は水仙、山茶花(さざんか)が咲きますが、水仙は毒があり、また山茶花も身近な生薬ではないため、春に咲くタンポポを紹介します。先月は菊花の花の食べ方とお茶の入れ方を紹介しましたが、今月はタンポポの花から根までの話です。どうぞお付き合いのほど、よろしくお願いします。

タンポポといえば、タンポポコーヒーを思い浮かべるでしょうか。
私の場合、子供の頃、近所の方が朝の畑に行って雑草の中から“ベビータンポポ”を抜いて持ち帰り、味見をさせてもらったとき「苦くて美味しくない!」と答えた記憶があります。中国では古くから生薬として使われており、野菜として食べるのも一般的でした。早春は根も柔らかく、全て食べられます。
日本も昔はおひたしやてんぷらにして食べていたのだとか。現代では美味しい野菜が多いからか食べる方は少ないようです。下の写真は日本でよく見るカントウタンポポです。

タンポポはキク科タンポポ属の多年草です。
生薬は全草使えますが、主に根の部分を使い、蒲公英根(ほこうえいこん)と呼ばれています。種類や地域によって花が咲く時期が違います。大体2~3月頃に芽が出て、次第に花茎を伸ばし、菊の花に似た黄色の花が咲きます。
種子の上部には白い毛があり、風に乗って旅立ち、子孫を増やしていきます。生命力が強く、いたるところで見かけることも特徴です。約430年前の医学家、薬学家の李時珍の手による『本草綱目(ほんぞうこうもく)』の中では蒲公英は野菜に分類されています。

タンポポのはたらき
生薬に使う場合は乾燥させ、全草、根、葉、花、種を使います。主に根を使います。花が咲いたら根から全草を採集します。他の生薬は部位によってはたらきが違うことがありますが、タンポポは部位ごとのはたらきがほぼ同じです。

甘みと若干の苦みをもち、体を冷やすはたらきがあります。漢方では、胃と肝の不調や、以下の症状のあるときに使います。
内服では、
①のどかぜの初期の発熱、のどの腫れと痛み
②化膿性皮膚炎、おでき、ニキビ、ものもらいなどの化膿を伴う炎症
③膀胱炎
④脳炎
⑤インフルエンザ、おたふくかぜ
⑥消化不良、胃炎、便秘、肝炎、胆嚢炎

外用では乳腺炎、おたふくかぜには生のものを潰して貼る、生食する、お茶などで用いるなど。

乾燥したタンポポの全草をお茶として飲む場合は、症状の強さによりますが、5~15gを目安に、600ccの水から煮出して15分前後で成分を抽出します。菊花と合わせると化膿性皮膚炎に良いとされています。ただし、冷える季節、体が冷えやすいときは、控えめにするよう注意しましょう。

日本で出ている漢方薬には配合されていませんが、中国処方では、おできや化膿性の炎症に使われる五味消毒飲(ごみしょうどくいん)に配合されています。

タンポポコーヒーは何に良い?
ほとんどの生薬は「炮制」(ほうせい)と呼ばれる加工を施します。薬性を緩和して、毒性・劇性・副作用などを低下させ、効能・効果をより引き上げます。また味やにおいを矯正し有効成分が出やすくなります。一般に、色がつくまで、焙煎加工した生薬は香ばしくなり、消化を助ける効果がうまれます。根を焙煎したタンポポコーヒーのはたらきについての記載が見つかりませんが、消化に良く、清熱のはたらきが弱まっているのでは?というのが私の憶測です。

タンポポの食べ方
タンポポの苦味、大人になったら実は美味しいのだとわかるようになりました!
① 野菜サラダに混ぜる。
② さっと茹でてドレッシングをかけたり、味噌をつけたりして食べる。
③ 生のままで鍋料理、スープ、煮物、炒め物に。お粥などの場合はほうれん草や小松菜と同様に火を止める前に入れるとよい。
④ さっと茹でてからみじん切りにして、挽肉と一緒に餃子の具に。

生薬にも食材にも大活躍のタンポポを身近に感じていただけたでしょうか。

次回、1月は「梅」の話題をお届けします。お楽しみに!

劉 梅 –リュウ・メイ
[中医師 ・薬日本堂漢方スクール専任講師]
中国黒龍江省生まれ、黒龍江中医薬大学卒業後、ハルビン医科大学付属二院に内科医として臨床を経験。1994年に来日、北海道大学医学部客員研究員を経て、2001年、薬日本堂に入社。薬局勤務の傍ら漢方相談員の指導・育成に参加、TV・雑誌でも活躍する。主な著書『中国の女医さんが教えるおいしくて身体にいい中華』『病気・症状を改善 これならできる漢方ごはん』。

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