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2017.09.011069view
口は閉じて気をもらさない~言葉は少なく、舌はぴったり上に

気の省エネ生活 vol.3

前回、かたく閉じて気を多くもらしてはいけない9つの穴を話題にしました。そのひとつ、「口」。
今回は口からもれる気について見ていきましょう。

声は気の余り
漢方では、“声は気の余り“と考えます。
疲れたときや気持ちが沈んだとき、無口になる、しゃべりたくない、声が出にくい、声がかすれるといった経験があるかと思います。


言葉を慎み、無用の言葉をはぶいて、口数を少なくするのがよい。口数が多くなると、かならず気が動揺する。その結果は大いに元気を害する。言葉を慎むのも、徳を養い身を養う道である。
(貝原益軒 『養生訓』 全現代語訳 訳:伊藤友信 講談社学術文庫)

言葉を少なくすること、無用のことを言わないことが気の節約になると貝原益軒は述べています。

私は講義の時にマイクを使って話すと、使わない場合に比べて疲労が軽くなることを実感しています。また、長時間の講義のあとはしばらく無口になるのですが、気の消耗を防ぐ体の自然な反応なのだと思います。
以前受講したアーユルヴェーダのセミナーで講師の方が、「このくらいの声で後ろの人は聞こえますか?」と声の大きさやトーンを確認して、「声を出すということは気を消耗します、いのちを削って話すのです」と説明されていたのが印象に残っています。

話すことを無理に控えるということではなく、まずは、過度に話すことが気を消耗するのだということ知っておきたいです。
その上で、疲れているときには小さめの声で静かに話す、自分が話すよりも聴き役に回る、言葉少ない分表情でカバーするなどして気の消耗が大きくならないようにしましょう。
自然のリズムに沿って陰の時間には陰の行動をとることが養生の基本。陰の時間である夕方から夜にかけてはできるだけ目・耳・口を休ませて気を温存し元気を保つことが大切です。人と会って話す、食事をするなどの際には、大きな声を出さなくても伝わる静かな場所と、夜よりも日中の時間帯を選ぶことをおススメします。

舌はぴったり上につけておく
もうひとつ口から不用意に気をもらさないために気をつけたいのが、口の開けっぱなしです。
油断すると口が開いている!という方は、舌の位置を確認してみてください。舌は普段どの位置にありますか?

歯科クリニックで、舌はぴったり上にくっつけるのが本来の位置だと教えていただきました。

正しい位置に舌を置くようにしてみると、口がしっかり閉じて鼻呼吸が安定することに気づきました。「本来、口は飲食、鼻は呼吸に使う器官。人間だけが口を呼吸にも使う」と、口呼吸の健康への影響について注意を促している話を耳にしたことがあります。特に吸う息を口からおこなうと様々な弊害があると言われていますね。
口が開いてしまう人は口呼吸になっている可能性があります。人は呼吸によって天の気(自然界のエネルギー)を取り入れていますので、しっかりスムーズに呼吸をおこなうことは気を養うとともに気の消耗を防ぐことにつながります。

ちなみに舌の正しい位置の見つけ方と、口呼吸の健康への影響についてお知りになりたい方は、
「あいうべ体操」で調べてみるとよいでしょう。

さて、益軒いわく
禍は口よりいで、病は口より入る。口から出し入れするものは、つねに注意しなければならない。
次回は口に入るもの、飲食の観点から気の省エネ生活を見ていきます。

飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]
静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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