鶏そぼろの柚子胡椒風味

始まりの季節は気を補って

4月は始まりの季節。入学、就職、転勤や引っ越しなど、今月から新生活がスタートする方も多いのではないでしょうか。自然界でも、この時季は、新しい命のサイクルが一斉にスタートします。桜が咲き、若葉が芽吹き、虫たちも飛び始める。春の日差しを浴びると、眠っていたものが目覚めて、一気に活動を始めるのを感じますよね。
4月は、活動モードに切り替わった体に、少しずつアクセルを踏み始める時季なのです。

ところが、人間は自然界のようにスムーズに切り替えが効かないもの。
元気に動きたいのに、「毎日お疲れモードで体がぐったり」とか「寝起きが悪くて朝は体が動かない」といったこともあるでしょう。特に、冬に頑張りすぎた人や、日ごろから冷えを抱えている人は要注意。春から自然に高まってくるはずの陽気が潜伏したままになり、アクティブな春に、心も体もついていけなくなってしまうこともあります。

そんな方が行うべきことは何か、それは生命活動のエネルギーである「気」を補うことです。
深呼吸して新鮮な空気を取り入れるのもよし、天気のいい日にウォーキングして少しずつ体にエンジンをかけるもよし。それにプラスして、食べ物でも、気を補う働きのある食材をとっていきましょう。

「補う」と「巡らす」をセットで

気を補う「補気」の食材はたくさんあります。
米、イモ類、キャベツ、かぼちゃ、鶏肉や牛肉などの肉類や、鮭、タラなどの魚類。日本人にとっておなじみの食材が多いのですが、ダイエット中の人や野菜中心の食生活を送っている人は、不足しがちな食材でもあります。この時季にはしっかりとるように心がけてください。

今回ご紹介する薬膳常備菜は、「鶏そぼろの柚子胡椒風味」。補気する食材の代表である鶏のひき肉を甘辛く味付けした“ごはんの友”です。
ポイントは、風味付けに使った柚子胡椒。香りのいい柚子は、気の運行を促して消化機能を健やかに保つ食材で、鶏肉で補った気を巡らす助けになります。つまり、補気の鶏肉に柚子をプラスすれば、「気を補う」と「気を巡らす」の両方が叶う最高の組み合わせになるのです。さらに、ピリリと辛い唐辛子には、温めて発散させる作用が。これひとつで、おなかを温めながら不足した気を補い、全身に行きわたらせる薬膳になるわけです。

豆腐や温野菜にのせるなど、使い方いろいろの「鶏そぼろ」。
でも、おすすめは、なんといっても白いご飯との組み合わせです。米は消化がよく、気を補うのに絶好の食材。「鶏そぼろ」を作ったら、朝食がパン派の人も、試しにご飯にチェンジしてみてください。おなかにやさしいごはんとともに、気を補って巡らせる! そんな朝の食習慣で、「なんとなく調子いい」を実感できるかもしれませんよ。

【材料】(作りやすい分量)
・鶏ひき肉…300g
・しょうゆ…大さじ3
・みりん…大さじ2
・砂糖…大さじ2
・酒…大さじ1
・柚子胡椒…小さじ1

【作り方】
1.しょうゆ、みりん、砂糖、酒を鍋に入れ、混ぜ合わせる。
2.1を火にかけ、煮立ったらひき肉を加え、菜箸4本で混ぜながら炒り煮する。汁気がなくなったら、柚子胡椒を加えて混ぜる。

【薬膳食材メモ】
鶏肉:脾胃の気を補い、疲れの回復や虚弱体質の改善に。
柚子:気の巡りを促し、胃腸の調子を整える。ストレスや緊張を緩める働きも。
唐辛子:胃腸を温め、血の巡りをよくする。消化を助け、食欲不振にも。

「鶏そぼろのおにぎり」
ご飯の中に鶏そぼろと白ごまを混ぜ込んで握り、紫蘇の葉で巻きました。柚子胡椒と紫蘇の香りがする爽やかな春のおにぎり。

岡央知子 - Tomoko Okao
漢方養生指導士(漢方上級スタイリスト)、国際中医師、国際薬膳師。美容・健康をテーマに美容・健康エディターとして仕事をする中で東洋医学に関心をもち、漢方、中医学、薬膳を学ぶ。雑誌やラジオ、イベントなどを通じて、美容と健康のための薬膳や養生についての啓発活動を行う。著書に『美★薬膳』(主婦と生活社)がある。
現在「食べて学べる月イチ薬膳教室@TUMUGU東京青山」開催中。詳細は「TUMUGU東京青山」で検索を!「FYTTE Web」にて「不調知らずの体になる! 季節の薬膳レシピ」連載中。
◎薬膳教室:「TUMUGU東京青山」http://www.tumugu-aoyama.jp/
◎HP:「薬膳ノート」http://www.yakuzennote.com
◎ブログ「Eat & Run! 岡央 知子の美・薬膳な日々」http://ameblo.jp/yakuzen-navi/