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公開日:2017.02.01 更新日:2020.05.209422view

体を芯からポカポカ温めて冬かぜ予防【スパイシー生姜シロップ】

薬膳常備菜Vol.9

「温める」食材にも2つのタイプが
暦の上では2月4日は「立春」。春が芽生えるというのに、寒さが一層厳しくなるのがこの時期の特徴です。この頃の養生で意識したいのが体の冷え。体質だからと軽く考えがちですが、体温が下がると免疫力が低下して病気にかかりやすくなるから油断は禁物です。

というのも、昔の人の平熱は36.5~37.0℃もあったとか。
平熱が35度台も珍しくない今では、信じられないような数字ですよね。
体温の低さは、抵抗力低下の印。病気に強い体を養うために、冷えをケアする「温活」を実践していきましょう。
薬膳では、食材の「温める」「冷やす」といった性質を重視します。
冷えのケアには温める性質のある食材をとることが基本ですが、同じ「温める」でも、体の外側(体表)を温めるのが得意な食材と、内側(体内)を温めるのが得意な食材があることを覚えておいてください。

温め食材でまず頭に浮かぶ生姜は、体の外側を温めます。
体表を温めて発汗を促し、病気の原因である邪気を発散。かぜをひいたときに生姜を食べるとよいのは、こうした性質があるからです。
生姜のほか、ねぎ、紫蘇なども、この仲間に分類されます。

一方、血行促進効果があるとして話題のシナモンは、体の内側を温める食材。
内臓や血管、経絡を温め、冷えによるさまざまな症状を和らげるパワーがあります。
唐辛子、クローブ、フェンネルといったスパイス類も、内側を温める食材。ピリ辛料理を食べると体がポカポカするのは、こうした食材の性質によるものなのです。

乾燥・加熱すれば生姜の温め作用がUP
今回の薬膳常備菜は、これらの温め食材をふんだんに使った保存食「スパイシー生姜シロップ」。
ポイントは、生姜を薄くスライスし、乾燥させてから使用する点です。
さきほど、「生姜は体の外側を温める」とお話しましたが、実は、乾燥させたり、じっくり加熱したりするとこの性質が変化し、内側を温める力がアップするのです。

乾燥させて温めパワーを増強させた生姜に、スパイスとみかんの皮を加え、砂糖とともにじっくり煮れば、ピリッと辛いジンジャーシロップの出来上がり!
生姜とシナモンは、葛根湯など漢方のかぜ薬にも入っている組み合わせですから、冬かぜの予防にも一役買ってくれるでしょう。
紅茶に入れたり、ヨーグルトにかけたり、煮物の甘味料に使ったりと使い道はいろいろ。ぜひ、たくさん作ってご活用ください。

【材料】(作りやすい分量)
・生姜(皮をむいて)…500g
・三温糖…500g
・シナモンスティック…2本
・クローブ…3粒
・カルダモン…4粒
・ローリエ…1枚
・みかんの皮(乾燥)…1g
・レモン…1/2個

【作り方】
1.皮をむいた生姜は、繊維に逆らって薄くスライスする。
  天板に並べ、120℃に余熱したオーブンで40分程度、表面が乾燥するまで焼く。

2.シナモンスティックは手で割り、カルダモンは中の種を取り出す(使うのは種のみ)。

3.2とクローブ、ローリエ、ミカンの皮をフードプロセッサーにかけて粉末にし、お茶袋に入れておく。

4.鍋に三温糖、水600㏄を入れて溶かし、生姜と3を入れて火にかける。沸騰したら弱火にし、
  フタをして1時間ほど煮る。

5.最後にレモン汁を加えたら、火をとめ、シロップを漉して、煮沸した保存瓶に入れる。

★残った生姜スライスは、ザルに広げて1日乾燥させましょう。
 グラニュー糖をまぶせば、手作りの生姜糖に。

【薬膳食材メモ】
生姜:体表を温め発汗を促す。生で食べれば、かぜの初期や咳、嘔吐に。じっくり加熱すれば体を温める作用が高まる。
シナモン(肉桂):強い温め作用があり、脾胃、経脈を温める。寒さによる痛みの緩和にも。
クローブ(丁子):脾胃と腎を温める。寒さによる腹痛や嘔吐に。
カルダモン(白豆蔲:びゃくずく):おなかを温め、吐き気やおなかの張りをとる。香りの効果で湿気の停滞を取り除く。
みかんの皮(陳皮):気の巡りをよくして消化機能を助ける。

・紅茶にジンジャーシロップと生姜糖を添えて
・抹茶風味のパンケーキに生姜シロップを添えて

岡尾 知子
岡尾 知子 - Tomoko Okao

漢方養生指導士(漢方上級スタイリスト)、国際中医師、国際薬膳師、鍼灸師。美容・健康をテーマに美容・健康エディターとして仕事をする中で東洋医学に関心をもち、漢方、中医学、薬膳を学ぶ。雑誌やラジオ、イベントなどを通じて、美容と健康のための薬膳や養生についての啓発活動を行う。はり師・きゅう師の国家試験に合格し、鍼灸師として東京の「池袋ひりゅう鍼灸院」で臨床にあたっている。詳しい情報は「LOTUS(ロータス)薬膳教室」「薬膳ノート」で検索を!

◎薬膳教室:「TUMUGU東京青山」http://www.tumugu-aoyama.jp/

◎HP:「薬膳ノート」http://www.yakuzennote.com

◎ブログ「Eat & Run! 岡尾 知子の美・薬膳な日々」http://ameblo.jp/yakuzen-navi/

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