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2017.07.01279view
限りある元気を有効に、健康のために“やらない”養生のススメ

気の省エネ生活 vol.1

終わることのない健康ブームの中で、健康のために“何かをプラスする”という考え方が主流になっていると感じます。健康のために“何かをやらない”ことも必要なのではないかと思います。

300年読み継がれている健康指南書、『養生訓』の中で貝原益軒は次のように述べています。

人びとは毎日その日の昼夜の中で、
元気を養うことと消耗させることのどちらが多いか比較してみるがよい。
多くのひとは、一日のうちで気を養うことが少なく、消耗することが多くて、それが毎日つづけば元気が減り病になってついに死をまねくであろう。
それだから多くのひとは病気がちになり短命に終わることになる。限りある元気であって、限りのない欲を自由にしようと思うのは、間違っている。
(養生訓 全現代語訳 訳:伊藤友信 講談社学術文庫)

気は養うだけでなく、消耗を避けるということも大事な養生だと思います。私自身が年齢とともに、元気を養う力の低下を感じています。40歳を過ぎたら、知らずにエネルギーを消耗していることをできるだけ防ぎ、自分が本当にエネルギーを注ぎたいことに限りある元気を有効に使って生活したいものです。
そこで、“気の省エネ生活”です。気を養うことだけでなく、損なわないことについても考えていきます。当たり前すぎて忘れてしまっていることを改めて気に留め、私達のからだのことや、養生について見つめ直してみたいと思います。

太陽から気をいただく

ある俳優さんを特集したTV番組の中で、散歩と日光浴を趣味にしているというその俳優さんが川辺の散歩中に、ゆったりと太陽に向かって仁王立ちし、少し手を広げて日光浴を始めました。このとき、俳優さんは「動物だから太陽からエネルギーをもらっていますよね」とはにかみながらコメントし、そのうち、裸足になりジャケットを脱いで本格的に日光浴をしはじめたものと思われます。
漢方で“気”は陽ですが、太陽は大いなる陽です。呼吸や皮膚を通して全身で太陽のエネルギーをいただくことは気を養う方法のひとつですね。
この番組を見てからは、休日は時間を作って散歩をするようにしています。近所の神社にお気に入りの木があります。その木の近くに立っていると肌がジンジンして体が気持ち良く感じます。人は気持ち良いと感じるもの(こと)からエネルギーをもらっていると思います。

さて、先ほどの養生訓の一節に“限りのない欲”とありましたが、益軒はこれについて、「欲というのは、耳が音を聴き、目が物を見、口が物を飲食し、身体が色を好むという人間の身体の各部の欲望のことである」と説明しています。これらの欲を思うままにすることが気の消耗につながるということです。
次回は、目と耳を静かにして気の消耗を防ぐことについて考えてみます。

飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]
静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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