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2017.05.01116view
ほてりや血流の改善に、牡丹の根皮が実力を発揮

生薬の花めぐり(1)

このコラムは、毎月1回、生薬になる植物とその花を紹介します。
生薬をより身近に感じていただき、分かりやすく解説します。どうぞお付き合いのほど、よろしくお願いします。

約5年前から、生薬になる植物のことを知りたくて、休みの日に薬草園や植物園に足を運ぶようになりました。生薬の花の可愛らしさや美しさに惹かれて撮影を始め、ますます漢方とのつながりが深くなりました。
信じられないかもしれませんが、私は漢方の専門とはいえ、道端の植物を見ても「これは生薬です」とは言えなかったのです。大学生の頃は植物に興味がないうえに、生薬の効能や効果も暗記するばかり。
見てください!私が使っていた教材はこんな風です。文字ばかり、絵もないし、写真もありません。つまらないでしょう!?

さて、今回は牡丹の話です。
今の時期、東京のあたりでは牡丹の花が咲いています。赤や白、様々な種類があり、中国では牡丹の花は「花の王」とも呼ばれ、その華やかさは「繁盛」「幸福」の象徴となっています。
中国を原産とする植物で、約3000年前の詩歌に数多く登場します。
約2000年前の『神農本草経』(もっとも古い生薬の書物)に根皮を生薬とした記載があります。
人口栽培の歴史は1500年以上、日本に入ったのは奈良時代だそうです。観賞用と薬用があります。

牡丹はボタン科ボタン属の落葉小低木。中国西北部が原産地です。
本来の開花時期は春の終わりから夏の初旬です。花弁はタンパク質、脂質、糖質が含くまれ、ビタミンやミネラルも豊富です。宋代(約1000年前)からは食用にしたのだとか。
明代(約600年前)の書物では、「牡丹の落ちたばかりの花弁は煮て食べられる」、また「花弁を摘んで洗い、小麦粉と水に合わせて、ごま油で揚げると美味この上なし」と書かれていますし、清代(約350年前)の『養小録』には「牡丹の花弁はスープにしてよし、蜜につけてよし、肉汁で煮込むのもまたよし」と書かれています。

長い年月を経て、環境の変化や、花をよりキレイに咲かせるために品種改良を繰り返したことで、株全体の形、根や葉、花などの形態が昔とは変わってきており、普段見かけるのは観賞用のものがほとんどです。
牡丹の根皮は外層に有効成分が多く、この部分を薬に使います。牡丹の根皮を乾燥させたものは「牡丹皮」と呼ばれ、皮の厚みなど「根の品質」で選ばれています。
現在薬用の品種は大体いくつか決められて、地域に相応しい品種を栽培されています。

今回の牡丹の写真は上野の東照宮で撮ったものです。見た目で薬用できるかどうか決められません。

「牡丹皮」は清熱涼血薬に分類される体を冷やす生薬です。
火照りや発熱を伴う症状や病気に良いとされています。例えば炎症に伴う発熱、月経前の火照り、更年期のホットフラッシュなどに使われています。
血流の改善にも良いので打撲に、また月経痛や頭痛などの痛みを抑制する効果もあります。
日本で牡丹皮が配合されている処方は、温経湯六味地黄丸八味地黄丸大黄牡丹皮湯桂枝茯苓丸加味逍遥散などがあります。

いかがでしょう、牡丹の魅力が伝わったでしょうか。
次回は「芍薬」の話題をお届けします。
お楽しみに!

劉 梅 –リュウ・メイ
[中医師 ・薬日本堂漢方スクール専任講師]
中国黒龍江省生まれ、黒龍江中医薬大学卒業後、ハルビン医科大学付属二院に内科医として臨床を経験。1994年に来日、北海道大学医学部客員研究員を経て、2001年、薬日本堂に入社。薬局勤務の傍ら漢方相談員の指導・育成に参加、TV・雑誌でも活躍する。主な著書『中国の女医さんが教えるおいしくて身体にいい中華』『病気・症状を改善 これならできる漢方ごはん』。

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