TOP読む(コラム一覧) > ピーナッツの皮も鶏の砂肝も、みんな漢方の生薬
2017.04.01101view
ピーナッツの皮も鶏の砂肝も、みんな漢方の生薬

中医の玉手箱(9)

中医薬大学の二年生のとき、薬膳の講座がありました。
薬学部の先生が交代でご自身の専門分野に基づく「普段食べているものの薬効」について話すもので、高血圧や肝臓病といったものから、肥満とダイエット、美容やアンチエイジングなど多岐に渡っており、普段食べているものがほとんどなので、その薬効との関係にびっくり!

授業の中で、どの先生も取り上げていたものが「黒きくらげ」。私の大好物です!
黒きくらげは、漢方では気血を補い、血をめぐらせるはたらきがあるとされています。栄養学的にも鉄分や繊維質が多く含まれているため貧血や便秘にもいいとのこと。美味しいだけではなく、こんなに薬効もあったとは!
また、白きくらげは肺や肌を潤すとされています。白と黒のきくらげを水でもどしたものをさっとゆでてから、酢と塩、ごま油、にんにくのみじん切りで和えれば、両方一度に摂れます。

薬物学の教科書を開くと、きくらげに限らず、私たちが日々の暮らしの中で当たり前のように食べている中にも、漢方薬として使われているものがあることがわかります。
食材の中で、病気を防ぎ、不調を改善する生薬として扱われてきたものを例としていくつか挙げてみましょう。
ピーナッツの渋皮は「花生衣(ホワションイー)」といって、止血のはたらきがあります。
草餅に入れるヨモギは「艾葉(アイイエ)」という名前で、冷えによるお腹などの痛みを温めて和らげるとされていますし、お灸に使う「もぐさ」もヨモギから作られます。
消化を促進する「鶏内金(ジーネイジン)」は鶏の砂(さ)嚢(のう)(すなぎも)の内側の硬い皮のことです。
ミカンの皮を干した「陳皮(チンピ)」は、よい香りで気をめぐらせてリフレッシュ。
他にも昆布、海藻、銀杏など、生薬が普段食べているもの中に存在していることを知ったら薬物学の授業が楽しくなってきました。

「中国人の友達と数人で食事に行くと、料理を選ぶときに『熱の料理を注文しすぎたから、もう少し冷ます料理を入れようよ』って言うんですよ。普段から食べ物のはたらきについて意識しているんですね」と、上海に住んでいたことがある知り合いが話してくれました。
こういった食べ物の薬効は、昔の人たちが「食べた後の身体」を観察した経験に基づいています。
不調のあるときに「これを食べたらどうなったか」を口承で伝えてきたものを文字が発明されてからは記録に残せるようになり、学問として体系化していきました。
遠い昔には、病気になってもすぐ病院に行ける状況でなかったため、「病気にならないように、もし病気になっても自分で治す」ことを実践し、親子で代々その知識が受け継がれています。

私たちも、どの食べ物にどんなはたらきがあるか、知って、考えながら選んで、調理して。毎日に活かしていきたいですね。

原口徳子 - Noriko Haraguchi[中医師・薬日本堂漢方スクール講師]
1963年仙台市生まれ。高校生の頃に太極拳を学び、経絡や気の流れに興味を持つ。
家族の転勤で2003年から10年ほど中国に住む間に、上海中医薬大学で中医学と鍼灸推拿学を7年間学ぶ。修士号(中医学)を取得して卒業、中医師の資格を取得後2014年に帰国。「お母さんと子供を元気にする漢方と養生」の普及のために活動中。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

ページトップへ