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公開日:2016.09.01 更新日:2020.05.2032409view

枯れた声を美声に戻すにが~い漢方薬 ~響声破笛丸(きょうせいはてきがん)

知っておこう!漢方薬の意外な力 vol.16

【しわがれ声やのどの不快感に】

名前をみただけで声に良さそうな響声破笛丸(きょうせいはてきがん)。しわがれ声やのどの不快感を解消する漢方薬です。

「のどがいがらっぽい」「声がかすれて出ない」ということは日常よくあります。ただし、原因はさまざま。響声破笛丸はどのような人に効果があるのでしょう。4人に登場いただきました。


  • A) 暑がりのAさんは、寝苦しい夏の夜に冷房をかけて寝たため翌朝のどが乾いて痛いという症状が出ました。

  • B) アナウンサーのBさんは、オリンピック期間中に声を張り上げて実況中継したためにのどが腫れて声が出なくなりました。

  • C) カゼをひきやすいCさんは、インフルエンザにかかった時に高熱が出て扁桃腺が腫れて声が出なくなってしまいました。

  • D) 芸術大学声楽科に通っているDさんは、秋のコンクールに向けて猛特訓中ですが頑張り過ぎて少し声がかすれてきてしまいました。


響声破笛丸が有効なのはBさんとDさん。声が出なくて困っているBさんの治療、声が出なくなっては困るDさんの予防、どちらにも使える優れものです。

響声破笛丸は9種類の生薬から構成されています。のど飴や市販の咳止めにも入っている桔梗(ききょう)や連翹(れんぎょう)は、炎症を鎮めるはたらきがあります。うがい薬に入っている薄荷(はっか)は清涼な香味で痛みをおさえます。阿仙薬(あせんやく)と訶子(かし)は、収斂(しゅうれん)といって炎症で広がってしまった患部の血管を縮めるはたらきがあるので、狭まった気管を拡げて発声しやすくしてくれます。ただし、すごく渋くてまずい薬。
店舗ではたらいていた当時、ある歌手がのどの痛みで相談に来られました。美しいハイトーンボイスがかれてしまっては大変!ということでこの漢方薬を選んだのですが、ひと言「えらくまずい薬ですから覚悟して飲んでください」と伝えたのを覚えています。お忙しい方なのでマネジャーが代わりにお薬を買いに通われ、「確かにまずい薬ですが効いています」とお答えがあったのでホッとしました。
最近は飲みやすいエキス顆粒剤が市販されているので、のどを使うお仕事をされている方には常備薬としておすすめです。

そういう私自身も講師という声を使う仕事をしているので、のどの状態には気をつかいます。最後に私が飲んでいるお茶をご紹介しましょう。中央にあるプヨプヨしたものは胖大海(はんだいかい)という生薬です。梅干しの種のような状態にお湯を注ぐとこのように膨らんで、のどの痛みをおさえてくれます。他にも炎症をおさえる菊花や薄荷、金銀花(きんぎんか)も配合したスペシャルティー!今日もおいしく飲んで頑張ります。

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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