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2017.10.01767view
シソの葉はかぜに、茎は消化に、種は咳やむくみによし

生薬の花めぐり(6)

「生薬の花めぐり」へようこそ!
台所には、生薬になるものがたくさんあります。生姜、ネギ、ニラなどみんな立派な生薬になります!このコラムでは、生薬になる植物とその花を紹介します。生薬が身近にあることを知り、上手に使って、健康維持や病気の改善に役立てていただきたいです。今回は紫蘇(シソ)の話です。どうぞお付き合いのほど、よろしくお願いします。

シソの歴史と名前の由来
シソといえば、思い出すのはシソジュース、梅干しでしょうか?!シソはシソ科シソの1年生草本植物です。中国が原産で、2000年前から栽培され、日本では平安時代以前から栽培されていたとか。青シソと赤シソの2種類があり、薬食にはいずれも使い、薬用は赤シソを使います。但し、シソは交雑などで品種が変わりやすいため、薬効を保つため原種にこだわっています。これを「道地薬材6月1日【芍薬】の記事を参照)」といいます。名前の由来は、魚介類などで中毒を起こした後にシソで命が蘇ったことから「紫蘇」と呼ばれたそうです。

葉だけでなく、茎、種も生薬に使え、成長段階に合わせて芽じそ、花がついた花穂、実が入った穂じそ、それぞれ日本料理で大活躍。みんな立派な薬膳です!全草(全体)はかぜや咳、消化不良に良いのですが、部位によって使い分けられています。

これがシソの花!
シソは10月に花が咲きます。あまりに小さくてよくわからないですね。カメラの進化によって、写真で見た方が分かりやすいかも。シソの花は気の巡りを良くするため、胃が張る、食欲不振、ガスが多いなどに良いとされ、お茶にも料理にも使います。

大活躍のシソの葉
シソの葉は、7、8月に採取し、乾燥させて使います。生薬では蘇葉(そよう)または紫蘇葉(しそよう)と呼び、分類は「辛温解表薬」、香蘇散という漢方薬に配合されています。咳や喘息に良い神秘湯にも配合され、気の滞りによる食欲不振、吐き気、腹部の膨満感に良い半夏厚朴湯にも使われています。
食生活では魚介類の中毒の予防、食中毒の後の嘔吐や下痢に良い薬膳です。また妊娠中のつわりや胎児の不安定に良く、最近ではアレルギー疾患に有効とされています。防腐作用があるので、料理が保存しやすくなります。
注意したいのは、摂り過ぎると汗のかき過ぎにつながること。気虚で弱っているときや疲れたときは量を控えめにしましょう。

蘇梗と紫蘇子
茎は蘇梗(そこう)といいます。花が咲く前の大体9月上旬に採収します。主に嘔吐、食欲不振に用います。
また、9月下旬から10月中旬に花穂を採取し、種子を乾燥して生薬としたものを紫蘇子(しそし)または蘇子(そし)といいます。咳や喘鳴(のどのぜろぜろ音)を鎮め、痰を出しやすくするほか、便秘やむくみの解消に良いとされています。気管支炎や喘息に使う蘇子降気湯に配合されています。

まとめると、シソの上部や外側にある葉は香りが強く、発散、発汗によいですし、種は上から地面に落ちるため、咳や喘鳴を鎮めます。茎は植物の中心にあるので、お腹に良いわけです。このような植物の部位と効能効果の関係を「昇降浮沈」といい、他の生薬でも同じことがいえます。軽やかな花や葉は上へ、種は下へ、皮は中へとはたらきます。漢方って面白いでしょう?!これを証明するための「エビデンス」はまだ出て来ませんが、そのうち証明するような機械が作られるかも!

前回は捨てるところがないクコでしたが、今回も捨てるところがないシソ、この魅力を感じていただけたでしょうか。

次回は「菊花」の話題をお届けします。お楽しみに!

劉 梅 –リュウ・メイ
[中医師 ・薬日本堂漢方スクール専任講師]
中国黒龍江省生まれ、黒龍江中医薬大学卒業後、ハルビン医科大学付属二院に内科医として臨床を経験。1994年に来日、北海道大学医学部客員研究員を経て、2001年、薬日本堂に入社。薬局勤務の傍ら漢方相談員の指導・育成に参加、TV・雑誌でも活躍する。主な著書『中国の女医さんが教えるおいしくて身体にいい中華』『病気・症状を改善 これならできる漢方ごはん』。

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