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2017.03.01371view
花のつぼみが鼻のつまりを解放?! ~辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)・葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)

知っておこう!漢方薬の意外な力 vol.22

大昔、人々は自然観察と人体実験から、人にとって有効な生薬を選び出しました。
漢方の重要な古典のひとつ『神農本草経(しんのうほんぞうけい)』は、伝説の神様である神農さんがその辺の草花を食べてみて、おいしかったら食材、おいしくはないけれど体調が良くなるものを薬としてわけながら作成したと言われています。薬食同源(やくしょくどうげん)という言葉、ここから生まれたのかもしれません。

生薬の中には、もととなる植物の性質をうまく利用して作られたものも多数あります。
例えば辛夷(しんい)。これは野山で春の訪れを一番に知らせると言われている樹木、コブシの白い花のツボミが基原となっています。
ツボミはこれから花開きます。ということは、開放する力を秘めていると昔の人は考えたのですね。辛夷の効能は、通鼻竅(つうびきゅう)といって鼻の穴の詰まりを解くことです。ツボミを使おうと思ったこと、実際に使ってみると鼻の通りが良くなること、とてもおもしろいですね。

辛夷が配合されている処方が2つあります。どちらも鼻が詰まって苦しい時に使います。これからアレルギー性鼻炎などでひどい鼻づまりが起きた時に活用できるかもしれません。

ひとつは辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
辛夷の他に、ビワの葉やユリ根、クチナシの実、石膏などが配合されています。熱をさまして鼻の通りをよくする働きがあるので、鼻の周辺がボーっと熱くて鼻づまりがひどく、鼻水や痰が黄色く濃く粘って出にくいものに利用します。慢性鼻炎や蓄膿症などにも応用されます。

もうひとつは葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
カゼの初期に広く利用される葛根湯に、川芎(せんきゅう)と辛夷を加えたものです。体をあたためて鼻の通りをよくする働きがあるので、寒気や肩のこわばりがあり、冷えで悪化する鼻づまり、鼻水や痰は白から透明でさほど粘りが強くないものに利用します。
2つの処方はどちらも鼻の通りを良くしますが、冷えをあたためるのと熱をさますのとでは正反対になるので、使い方を間違えないようにしましょう。

辛夷清肺湯黄芩 石膏 知母 山梔子 升麻 麦門冬 百合 辛夷 枇杷葉濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)
葛根湯加川芎辛夷葛根 麻黄 生姜 大棗 桂皮
芍薬 甘草 川芎 辛夷
比較的体力があるものの鼻づまり、蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎

齋藤 友香理 - Yukari Saito
[ 薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。薬日本堂漢方スクール:http://www.kampo-school.com/

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